ソライト

自然や旅、キャンプやアウトドアに関する事などについて、自分が感じたことや思った事などについて書いています。

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜『海の見えるキャンプ場でハンモック』

(今回の小説は下の続きからになります。)

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 町外れから、少し賑わいを見せる町中を通るとすぐに海が見え始めた。 山の景色の次は海の景色で、なんと贅沢なルートを僕は走っているんだろう、、、なんて考えながら走っている。

海の雰囲気や匂いを感じながら、港町や漁港の側を通る。 僕は山側に住んでいるのでこういった、港町の雰囲気がとても好きだ。 港町を抜けると海のすぐ側に道が通ってて、海と道路を挟んだ山側には線路が通っている。

気持ちよく走っていると、「ガタン!ガタン!、、、ガタン!ガタン!」と言う音と共に、まもなく列車が僕を抜かして行った。

列車は2両編成の観光列車の様だ。 中では、海にカメラを向けて写真を撮っている人もいる。すると、その中にいた一人の子供が僕のバイクに気付いたのか、手を振ってくれた。それを見て僕も手を振り返した。 トンネルに入っていく列車の中で一生懸命に手を振ってくれている子供に微笑ましさすら覚えた。

潮風を感じながらひたすらバイクを走らせる。 反対車線からは数十台はいるであろうツーリングの団体が走ってきた。ハーレーからレーサータイプ、中にはレトロなバイクまで多種多様。 そしてすれ違い様にみんな手を上げて挨拶をしてくれる。

前方に長いトンネル、トンネルに入るとバイクの音がよりこだまする。いろんなバイクの音が混じり合ったトンネル内、もはや一つのメロディにすら聞こえてくる。

1キロ近くはあるトンネルを抜けると、再び海の景色とちょっとしたビーチがあり、そこにはたくさんのサーファーが居た。波もそれなりにある様子で、ボードに掴まりながらプカプカと浮いている人もいれば、上手に波に乗っている人も居る。 その様子を横目に、「一度で良いから、僕もサーフィンをしてみたいなぁ」なんて思いつつ、さらにバイクを走らせる。

すると、ようやくキャンプ場の看板が出てきた。 少し細い道に入るとクネクネ道が続く。ここはどうやら岬にあるキャンプ場みたいだ。 細いクネクネ道をさらに進むと、高台とその下にテントサイトが2つの場所に分かれたキャンプ場に着いた。

すでに数組のキャンパーさんが居て、ファミリーやソロ、人それぞれで楽しんでいる様子。 中には海で釣りをしている人も居る。

高台と下の方のどちらにするか迷ったが、今回はハンモックを持って来ているので、ハンモックを張るのにちょうど良さそうな2本のヤシの木がある、下の方のテントサイトにした。

僕はバイクをそのヤシの木のそばに止め、キャンプ道具を下ろす事に。 時刻は12時過ぎ、今日は軽いキャンプをする予定だったので、荷物も比較的少な目。 ハンモックやタープ、ガスストーブに前日に仕込んで置いたポトフの材料を置き、まずはハンモックを張る事にした。

ちょうど良い感覚でヤシの木が立っていて、目の前には太平洋が見れる絶景。 この絶景をハンモックに揺られながら見たいと、急いでハンモックを張った。

そしてハンモックとタープも張り終わり、しばしの間、海を眺めながらハンモックに揺られる事に、、、。

、、、海の方、遠くの方で大きな船が汽笛を鳴らしている音が、近くでは波が打ち寄せる音、たまにトンビの鳴き声も聞こえてくる。 いつもは山の方のキャンプ場なのでこういう海のそばにあるキャンプ場でのキャンプは新鮮だ。

僕は思い立った様に、カメラを取り出してこの絶景をバックに、ハンモックに揺られる自分の姿を撮ったりしていた。ヤシの木の間に張っているハンモックがかなり絵になってる。(僕は要らないな、、、。)

その後も、新しく買ったカメラで存分に写真を撮った。

、、、そろそろお腹も減って来たので、持参したポトフをクッカーに入れ、水を注ぎ、ガスストーブの火を付ける。 周りではバーベキューをしているのか、お肉の焼けた良いぃ匂いがしてくる。

そしてポトフもグツグツと煮てきたので、コンソメを入れる事に。するとコンソメの溶けた香りが鼻を通り、その香りに僕の食欲がさらに掻き立てられた。

ポトフも出来上がりハンモックに座って、海を眺めながらポトフを食べる。ポトフの香りと潮の香り、そして絶景の海とハンモックに揺られる感覚も相まって、もう最高に美味しい!

ポトフも食べ終わって、ハンモックに座りながらボーッと海を眺めていると、釣りをしていた人が、両手一杯の荷物を持ち「ヨイショ、ヨイショ」といった感じで歩いていた。 さっきは気付かなかったがよく見ると、女性の釣り人みたいだ。

僕のハンモックの前を通る時、軽い挨拶をしたその人の荷物から、ポロッと何かが落ちたので僕は拾ってあげた。 でも明らかに「もう持てません、、、。」といった感じでコッチを見て訴えかけていたので、少しほくそ笑みながら女性の車の所まで運んであげることにした。

「ふぅ! ありがとうございます、助かりました!」

「いえ、全然! 、、、ところで何か釣れましたか?」

正直、僕は釣りにも興味があったので、どんな魚が釣れたのか気になって聞いてみた。

「まぁまぁですかね!」

女性がクーラーボックスを見せてくれたので、中を覗き込むとそこには数匹の魚がいた。そこまで魚の名前に詳しい訳ではないがクロダイか何かの魚もいて、僕は驚いた。

「ほぇ〜、ここでもこんなのが釣れるんですねぇ!」

「ホント釣れましたねっ、実はここでの釣りは初めてなんですけど。私自身もビックリしましたよ!(笑)」

「へぇー! 初めての場所でこんなに釣れるなんて凄いじゃないですか! けっこう釣りはするんですか?」

「時間を見つけては、海や川に行って釣りをしてます!」

「それにしてもハンモックも気持ち良さそうでしたね!」

「え?あ、あぁ!まぁ、海を眺めながらは特に気持ちが良いですよ!」

「私もキャンプ中に釣りをして、釣った魚を焼いて食べる、なんてキャンプをしてみたいなぁと思っていたので、キャンプをしている様子を見て俄然キャンプに興味が湧きました!」

そんな話をしながら、「また、どこかのキャンプ場で会えたら良いですね!」と女性に言われて、少しドキッとした自分も居た。

そしてその女性と別れを交わしたあと、僕も釣りに俄然興味が湧いてきたのは言うまでもなく、今度のキャンプでは釣りをして釣った魚で料理をしようかなぁなんてさっきの女性と同じ事を考えていた。

僕はテントサイトに戻り、またいっときの間、ハンモックに揺られていた。 時刻は2時、気持ち良くハンモックに揺られていると、新たなキャンパーさん達が来て、僕の数メートル近くにテントを張りけっこう騒いでいる。どうやら大学生ぐらいの子達だ。

そして数人の釣り人が来た。結構ガヤガヤと騒いでいる様子で見た目は少しガラの悪そうな若い釣り人達。

釣り場のポイントに行く為の道が、僕がハンモックを張っている数メートル前にあるので、僕は「うわぁ、ガラの悪そうな人達、絡まれたら嫌だなぁ、、、。」なんて思っていると、案の定、僕のハンモックに興味を持ったのか

「あぁ!めっちゃハンモック気持ち良さそうじゃん! 良いなぁ兄ちゃん!気持いやろ!」

と言われ、僕は「あ、え、まぁ、は、はい、、ははは、、(笑)」と言うしかなく、続けて

「俺ら釣りに来たんだけど、ここなにが釣れるか知らん?」と言われ、さっきの女性が釣れていたので、「、、、多分、クロダイとか釣れると思いますけど、、、。」と言い。

「おぉ?マジ!? じゃ、早よ行って釣ろうや!、、、。んじゃ、教えてくれてありがとな兄ちゃん!」

僕はあの女性が釣れたからといって、この人達が釣れるとは限らない事に、今更気付いて、またなんか絡まれたら嫌だし、「釣れんかったぞ!」なんて言われるんじゃないかと思ったし、しかも近くの大学生達は騒がしいので、ここから退散しようとキャンプ道具を急いで片付けた。

ガラの悪そうな人達は楽しそうに、釣りをしている。僕はバイクにキャンプ道具を積み終わり早々にキャンプ場を出た。 よくよく考えたら多分、僕より若い人達だろうけど、コワイものはコワイ、、、。

とりあえずキャンプ場を出たけど、まだ時間はあるし、帰るのには少し早いのでこのあとどうしようかなぁなんて考えて、それならと少し遠回りだけど市内の方にキャンプ用品もある大型商業施設に行くことにした。

市内までは途中まで来た道を引き返す、もちろん海の景色を眺めながら、、、。

約1時間程バイクを走らせた後、商業施設に着きバイクを止めて目的のキャンプ用品店を目指した。 ここは最近できた場所らしく実は僕自身来るのは初めて。そのお店の前に到着すると店の前からでも分かるぐらいにキャンプ道具がズラリと並んでいた。

やっぱり初めて来るキャンプ用品店は、初めて使うキャンプ道具みたいにワクワクする。僕はさっそうとお店に入り、くまなくキャンプ道具を物色した。 僕自身キャンプ歴は数年経つので見慣れた物もあるが、中には初めて見る物もあり興味深々。一つ一つをじっくりと、まるで子供の頃に戻った様な感じでなんだかんだ1時間は物色し続けた。

すると、ツーリングキャンプに持って来いであろうコンパクトな「焚き火台」があり、「うわぁー、これ欲しぃぃ!!!」と僕はついつい思ってしまった。

、、、僕はその焚き火台を見て買うか悩んでいた、実は先日買ったばかりの、別の焚き火台があるのに、、、ましてやその焚き火台はまだ使っていないのに、、、。なんだか、浮気をしている様で、、、、、、と思ったが、こうしてこの焚き火台と出会ったのも何かの運命かと思い、結局は買ってしまった。

僕は会計を済ませルンルン気分で、バイクを止めてある商業施設の駐車場に歩いていた。すると前から、さっきのキャンプ場に居たガラの悪そうな人達が歩いて来ていた。僕は「うわぁ、なんでいんの!?」と思い、顔を伏せたが、時すでに遅し。

その人達はハッキリと僕の顔を覚えていたようで、「おぉ! さっきのハンモックの兄ちゃんやろ!?」と声を掛けられた。

僕は少し嫌な予感がした、さっきクロダイとか釣れると思いますよと言ったが、もし魚が釣れてなくて、八つ当たりなんかされたら最悪だと、、、。

すると、その人達は「いやぁ、兄ちゃんが言った通り釣れたわ、クロダイ! しかも全員が!」

僕は一瞬「へっ!?」とした感じになったが、「あっ、あぁー! スゴイ!良かったです!良かったですね!」と返事し、その人達は「ありがとなぁ!」となんでお礼を言われたのか分からないが、そのままその商業施設の中に入って行った。

、、、本当はここからもう家に帰るつもりだったが、ホッとしたのも半分、正直まだキャンプをし足りなかったので(さっき途中で帰ったので)、近くにキャンプ場があればそこに一泊しようと考えた。 市内の方なので無いかもなと思いつつ、僕は必死にスマホで調べた。 すると少しこじんまりとしているが、ビーチに隣接しているキャンプ場を発見した。 ここからは約20分ほど、僕は「ここしかない!」と思いすぐに予約の電話を入れた。 すると予約は大丈夫だけど、チェックインの時間が5時までとのこと。「現在時刻4時30分!」

「よしっ行ける!」と思い、僕は予約をして急いでそのキャンプ場に向かった。

風を斬りながら、バイクを操る僕は、まるで「MOTOGPレーサー!」

とは言いつつも、制限速度はしっかりと守り走行。 そして無事、チェックイン時間に間に合った。 受付を済ませてテントサイトに行く、すると幸運にもハンモックを張るのにちょうどいい木があった。もちろんそこを定位置と決めてハンモックを張る。 時刻は夕方6時ごろ、ベストタイミングか夕日が山の方に沈んでいく瞬間、辺りはオレンジ色のなんとも幻想的な色合いに。 僕は思い立ったようにカメラを取り出しカメラを構え最高のシャッターチャンスを伺った、、、。

すると、管理人が「あぁ、居た居た!ごめん、ごめん!まだ書いてもらう紙があったんだった!」と、、、。

、、、、、、。

、、、僕は沈んでいく夕日をバックに、まだ間に合うかもと急いでその紙に必要事項を書いた。 けど、管理人がヘッドライトで照らして始めたのを見て、僕は悟った様に丁寧に書いた。

、、、辺りはだんだんと暗くなり、ビーチ沿いの何キロか先に光る市内の明かりが、一際目立ち始めた。

「あっ!そうだ」 、、、と、僕はさっき買った、焚き火台を出して組み立てていく。新品で焼け色が着いていない焚き火台。これを使っていくうちに良い焼き色にしていくのが楽しみで仕方ない。

そしてよくよく見ると、このキャンプ場にいるのは僕一人の様だ。 貸し切り気分になんだか嬉しくなった。 ヘッドライトを付けてビーチに行き、薪として使えそうな流木を探す。コンパクトな焚き火台なのでそこまで多くの薪は要らないはずと、小さいものも拾っていく。

ある程度拾い終え、ハンモックのある所に戻る途中、僕は気付いた、、、。

「あっ、夜に食べる物をなにも買ってない」、、、と。

「でも一食分、食べないくらいは我慢できる」ととりあえず戻り、新しい焚き火台に薪をくべて火を付ける。

ヘッドライトを消す、、、暗闇を照らす、焚き火の明るすぎない火が落ち着く。そして焚き火台の側面の切れ込みから見える火も、さり気なくてこれまたオツだ。

、、、。 、、、。「グゥ〜」

「ハラヘッタ、、、。」

管理棟の方を見るとかすかに明かりが点いていた。 僕はそこに最後の希望を残し歩いていく。 「コンコンコン(ドアを叩く音) あの〜すみませ〜ん」

「ガチャ」、、、ドアが開く。

「はい?どうしました?」

僕は何か食べれる様な物は売っていないか聞いた。

「いやぁウチは売店とかは無いからなぁ、、、。 う〜ん、、、あっ!夜食に食べようと思っていたカップ麺があるんだった。それで良いならあげるよ、ちょうど2つあるし」

「えっ!? いいんですか!? でも、、、。」

「いいよ、いいよ、しかもさっき夕日を撮り損ねたでしょ、分かってたよ、それも私が紙を書かせたからだし、その分と言うか、どうせ私はいつでも買いに行けるし」

「は、はぁ、でも、、、(確かにベストタイミングだった) 、、、じゃ遠慮なく貰います!」

僕は管理人にもらったカップ麺を食べるため、昼にポトフで使ったクッカーに水を入れ、焚き火でお湯を沸かした。 お湯が沸くまでのしばしの間、ハンモックに揺られながらかすかに出始めた星を眺める。

、、、それにしても今日は、いろんな出来事や出会いがあった。こんなに忙しい休日は久々、でも新しい焚き火台とキャンプ場も見つけてなんだこんだ幸せな1日だ。

カップ麺ができあがる時間に設定していた、スマホのアラーム音がなる。 フタを開け、暗い夜の空に上がっていく湯気を見向きもせず、麺を食らう、、、。

「美味しいっ! 管理人さんご馳走様です!」

あっという間に食べ終わり、再びハンモックに揺られる。 ハンモックの中で僕は日課のブログを書くことに。今日あった出来事を、出会いを、買った物を、、、。

僕は疲れていたのもあり、気付いたら眠っていた様だ。

、、、そして早朝、太陽が太平洋の水平線状に顔を出し始めているところだった。 僕は目にも止まらぬ速さで、カメラを構え、昨夜の無念を晴らすようにシャッターを切っていく。 朝日をバックにバイクの写真を、そしてバイクとハンモックと僕を一緒に、、、。ひたすらにシャッターを、、、。

、、、シャッターを切りながら、僕は思い出していた、、、。

、、、あっ、今日仕事だった、、、。(どうりで人が居ない訳だ)

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜

『海の見えるキャンプ場でハンモック』

 

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜 『ツーリング多め編』

ヤシの木が立つ海岸線沿いの道路

 時刻は朝の7時ごろ、僕は今、バイクにキャンプ道具を積んでいる。 今日の予定としては海沿いにあるキャンプ場に行ってハンモックを張りそこで一日のんびりと過ごす予定。その前にツーリング称して色んなところに寄ってその土地、土地の魅力を再発見、と言うか、言ってしまえばたまの休日を存分に楽しもうという魂胆。

今日のルートとしては、僕の家は海からは遠い山の側にあるので、山の峠道を通ってからちょっとした町を通り、海沿いに出て、いっとき海岸線沿いを走りキャンプ場に着く予定。

キャンプに必要な道具を載せ終わり、軽くバイクを拭きあげガレージから出して、エンジンを掛けることに。

今日はキャンプ道具を積んでいるので、バイクが少し重い。でもこの重さがなんとなく良い。(笑) そしてバイクにまたがりキックを出して思いっ切り踏み込む。

「ギィー!、ボォ、ボォ、ボォ、ボォ、ボォーン!、ボォーン!、ボォ、ボォ、ボォ」

エンジンは快調、日々の手入れがちゃんとしている証拠。 少しの間、エンジンを暖める、この時ふと思い出した、あるMOTOGPレーサーがレース前にバイクに向かって祈る様な感じを、僕も真似して今日一日を事故なく安全に楽しめる様に祈る。(笑)

エンジンも暖まった様子なので、いざ出発することに。

季節は夏も終わりに迫った頃、この時間帯はけっこう涼しくて快適。 でも日陰を通ると少し肌寒くも感じるが、この季節感を直に感じれるのがバイクならではというか車では味わえ無い感覚がまた良い。 ちなみに今日は週末で、仕事の人も少ないせいか車も少なくスイスイ走れる。

家から数分経って、少し山の中を通っているクネクネ道を走る。数年前はこういう峠道をレーサーレプリカのバイクでスピードを出して走っていたもんだ。 少しその時の気持ちが戻って来て、カーブで無駄に身体を横に倒したりしてみる。(笑)

そんな事をしながら気ままに走っていると、チラホラとバイクとすれ違う。するとバイク乗りならではの、知らない人でも同じバイク乗りという事で、すれ違い様に手を上げて挨拶をし合うのをした。この感じはバイク乗りにしか体験出来ない事で、特に地方に行った時に他のバイク乗りに手を上げて挨拶されると、すごく嬉しい気持ちになる。 でもたまに相手も手を上げてくれると思って、思いっきり手を上げて挨拶をしたら、気づいてくれないのか真相は定かではないけど何事もなかった様にすれ違う事があって、物凄く恥ずかしくなる事がある。 ましてや近くに他の車がいる時、その状態になるともっと恥ずかしい。「わぁ〜、あの人無視されてるぅ〜」みたいな。(笑)

、、、そんな事がありつつも走っていると、道の駅が出て来たのでとりあえず休憩を取る為に入った。 さすがは峠道の途中にある道の駅、すでにバイク乗りも数人居て楽しそうに談笑している。

ここでもバイク乗りならではだと思うが、「缶コーヒー」を片手にバイクを眺めながら、「このバイクは、この角度から見るのが良いんだよ!」などと言っている様子を垣間見る。

そして僕も当然の様に、自販機の前に行っていつも飲んでいる缶コーヒーを買う。バイクを眺めながら飲むコーヒーほど美味しいものは、この瞬間とキャンプの時にしかきっと味わえない、このひとときは僕にとって一つの貴重な時間だ。

「カシャ、カシャ」周りのバイク乗りがバイクの写真を撮っている。 それに釣られるように僕も写真を撮る事にした。 そしてここで登場するのが最近買った一眼カメラだ。お気に入りのバイクを良いカメラで撮りたくて、貯金をして買った。

何気に、バイク乗った出先でバイクの写真を撮るのは初めてなのでワクワクしていた。 「カシャ、カシャ」正直、まだ買ったばかりであまり使い方を分かっていないけど周りの目を気にして、得意げに撮ってる自分が居る。(笑)

すると、他のバイク乗りの人が、僕に話しかけに来てくれた。

「どうもぉ、良いバイクですね!」

「あ、ありがとうございます(照) (相手のバイクを見ながら)いやぁあのバイクも渋い感じで良いですね!」

すると僕のバイクに積んでいるキャンプ道具を見て。

「お? なんか積んで、、、あぁ!キャンプ道具かなにかですか?」

「そうなんですよ!、今日は海の側のキャンプ場に行って、ハンモックに揺られようかなぁ、なんて。(笑)」

「ほぇ〜、なんかすごく楽しそうだなぁ!キャンプかぁ子供の時以来していないなぁ、、、。」

なんて事を話していると、その人の友人達も交えて少しの間、バイクやキャンプの話で盛り上がった。

ガヤ、ガヤ、、、。

「、、、じゃあ、そろそろ行こうか、キャンプの話を聞かせてくれてありがとね!僕らもキャンプしたくなったよ」

「いえ、こちらこそ楽しかったです! ありがとうございました!」

その人達と僕は互いのツーリングの無事を祈って、一足先に出て行ったその人達を見送り、その数分後に僕も道の駅を出た。 こうしてバイク乗りはもとより、同じ趣味を持った人達同士で話あえるのはすごく楽しい。

時刻は9時前、峠道は続く。 僕は軽快にバイクを走らせながら次第に増えていくバイクとすれ違い様に手を上げ挨拶をする。

アップダウンを繰り返し、橋の下を通る川に涼を感じながら走り続ける。 そうしていると山の中の峠道も終わりに近づき、町外れにある民家や小さなお店が少しづつ現れ始めた。

すると1キロ先に「定食屋」があるとの看板が、、、。 今日の朝は朝食を取っていなかったのでその看板を見て、少しお腹が減ってきた。 多分前々から気になっていたお店なんだけど、あまり行く機会が無かったのでいつもスルーしていた。 、、、けど今日は、お腹も減っていることだし寄ってみようかなと思う。

少し走っていると、先ほどの看板に載っていたと思われるお店に到着した。よく見てみると、開店は10時からだそう。 現在時刻は9時半過ぎ、開店まで後少しなのでしばしのあいだ待つ事にした。 するとお店の中から一人の若い青年が出て来て、のれんを掛けたり、店の前に水を撒いたりしている。

その青年は僕の方をチラチラ見ている。 すると僕が開店時間を待っているのに気遣ってか話しかけて来てくれて、「開店時間待っているんですか? よかったら中に入ってても良いですよ」と言ってくれた。

僕は遠慮しながらも気付けばお店の中に入っていた。調理場には、その青年以外にその青年のお父さんと思われる人も居て、開店前の準備をしていた。 水を流している音や調理器具がカチャカチャと鳴っている音が、実家の朝を思い出させる。

すると青年が、「今日は何処かでキャンプですか?」と聞いて来た。 どうやらさっき、僕のバイクを見て分かった様で、水を差し出しながら話しかけて来てくれた。

僕は「そうそう! よく分かったねぇ!」

「メーカーを見て分かりました。 僕も何回かキャンプをしていて、、、。実はこの間も行って来たんですよ。この間はいろいろ大変でしたけど(笑)」

その青年は作業をしながらも僕と、キャンプのここが良いみたいな話をして盛り上がった。

、、、時刻は10時になりお店は開店。 立ち込める調理場からの湯気、部屋の隅っこの上にあるテレビが付く、開店して数分経つと数人のお客さんが入って来た。 「いらっしゃいませー!」 青年とそのお父さんの元気な声が店内に響き渡る。

良い匂いがしてきたなぁと思ったら、僕の所に先ほど注文していた、生姜焼き定食がきた。 「お待たせしましたっ、どうぞごゆっくりー」

良い匂いと美味しそうな生姜焼きが食欲をそそる。この時にはもうお腹ペコペコだったので到着するや否や、すぐに生姜焼きを頬張った。「おいしいっ」

すると常連さんなのか、一人のおじいちゃんが入って来て入り口に一番近いカウンター席に座り「いつものくれ」と一言。 青年も慣れた様子で「味噌汁はいる?いらない?」と聞いている。 まぁ定食屋さんだし常連さんくらいは居るかと、特に気にせず生姜焼き定食を食べていた。

賑やかな店内、ガヤガヤと笑い声も聞こえてくる。 町外れの定食屋、地元の人に愛されている感じで良い雰囲気だ。

すると、先ほどのおじいちゃんが青年に向かって「この前のキャンプは楽しかったか?」と聞いている。

「うん、結果的にはね! いやぁでも、それが結構大変でさぁ、焚き火は着かないし、フライパンは忘れているしで、でもキャンプ場に居た一人のおじさんに、焚き火を分けて貰ったりフライパンを借りたお礼と言うか、よく店で出す生姜焼きを作って一緒に食べたりしたんだよ。」

「、、、ほぉ、そうかそうか、その人は喜んでくれたか?」

「うん、でもまさかキャンプ場で生姜焼きを食べるとは思ってなかったみたいだけど。(笑)」

「懐かしいなぁ、ワシもその昔、お前みたいにフライパンを忘れて困っていたカップルに、ここで使っていたフライパンとかを貸した覚えがある。」

「あぁ、そう言えばその時のフライパン、うちで使っている物と一緒だったよ。」

「ん? ハッハッ! もしかしたらその人が、その当時の青年だったかもな。」

「まさかっ!(笑)」

僕はその話に耳を傾けながら、生姜焼き定食を食べ終わり、食器類をカウンター横の返却場所に置いて会計をした。

すると、青年が「あ、じいちゃんじいちゃん、このお兄さん今からキャンプに行くんだって。ほら外にバイクがあったの見たでしょ、、、。」

「ほー、バイクでかぁ、そりゃ良いなぁ。 この辺りだと町を抜けて海岸線沿いに行ったとこにあるキャンプ場が良いわ。もしかしてそこに行くんかぁ?」

「あ、はい、そうなんです(笑)まぁただ、ハンモックに揺られながら海を眺めようかなぁなんて、、、。」

「へぇー!ハンモックかぁ気持ち良さそう!」

「良い良い、キャンプは自由じゃ、自分のしたいと思うキャンプをしたらええ、、、。気をつけて楽しんでな」

「は、はい、ではっ!」

続いて青年も「ありがとうございました! 僕もまたキャンプに行きますね! じゃ気をつけて楽しんで!」

「ご馳走様!はーいありがとう。またねぇ」 僕は心もお腹も満たされて良い気分になり、再びバイクを走らせた、、、。

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜

『ツーリング多め編』

 

【短編小説】 俺のソロキャンプ『後編』

キャンプ(今回は、下の記事の続きになります。)

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「※この話は、どこにでも居るごく普通の中年男性が、キャンプ中に若い男女と出会った話。(フィクションです。)」

 

【短編小説】 俺のソロキャンプ『後編』

・・・・・前回からの続き・・・・・

 キャンプ飯のステーキは申し分なく最高においしかった。

最高のキャンプ飯も堪能したので、この後はゆっくりとコーヒーを飲みながら、星を眺めようかなと考えている。

すると、、、。

男女二人:「あのぉ、すいませ〜ん」

年の頃は二十歳ぐらいか、若い男女が俺に話しかけてきた。

男性の方が「焚き火台」を持ち、少し困った様子で尋ねてきたので大体の予想はついたが、、、。

俺:「んっ、どうしました?」

男性:「いやっ、そのぉ、いざ焚き火をしようと思ったら「薪」を忘れてて、、、。火がないと料理も作れなくて少し困ってて、、、。」

これはもう、俺の火が着いている「薪」を分けて欲しいんだなぁと思って

俺:「あーっ! 良かったら焚き火分けるよー、全然使って!」

男女:「本当ですかぁ!? ありがとうございます!!」

俺自身、この男女と同じくらいの年齢になる息子と娘が居るので、素っ気無くもできず、喜んで焚き火を分けてあげた。 なんかいろいろ気になったので、少し話を聞いてみると、どうやらこの男女は「カップル」でまだ付き合って半年程。

今回は、彼の趣味でもあるキャンプをしに来たけど、彼自身キャンプをしたのは数回程度で、テントとかは比較的スムーズに立てたけど、火起こしが少し自信がなく、今回もうまくいくか半ば不安を抱えながらキャンプに挑んだ、そしていざ焚き火をしようと思ったら、火起こしの心配の前に、薪を忘れている事にこのとき気づいて困っていたと。

そしたらこのキャンプ場に何人か居るキャンパーの内、俺のところが一際、焚き火が明るく、焚き火も煌々と燃えていたので、もしかしたら火の着いた薪を分けてくれるかなぁと思い、俺に声をかけてきたらしい。

その話を聞いて、「俺にもそんな過去」があったなぁと思い出して、俄然ほっとけなくなった。

彼女の方は今回が初めてのキャンプだと言う事で、キャンプについては全くの素人、今回のキャンプもほとんど彼がしてくれてるとのことで任せっきりにしてたらしい。

そして俺は、燃えている薪をいくつか分けてあげた。
カップルはホッとした様子で、「ありがとうございます!」と言い、自分達のテントへ戻っていった。

嬉しそうに戻っていくカップルを見て、こちらまで嬉しくなるとと共に自分自身の過去を思い出していた。

 

・・・・・

 今から20年以上前の話しになるけど、ある日、今の妻(当時は彼女)とキャンプに行く事になった。 さっきのカップルと違うのは「俺と妻、2人ともが初めてのキャンプ」だと言う事。

けど、持ち前の器用さでテント設営や焚き火を着けるのは、なんとかうまくいった。 、、、だけど、料理を作る時に気づいた事があって、まさかの”フライパン”をはじめとする調理器具を持ってくるのをすっかり忘れていた。

しかもさっきまで晴れだったが突然の雨が降ってきて、ついていた焚き火が消える始末。 タープを張っていなかったので、焚き火の雨除けもできなかったのだ。

けど、通り雨だった様子で幸か否か、数分したら天気は回復した。 、、、が焚き火はサッパリと消えているし、キャンプギアは濡れているしで妻と共にガッカリしていた。

すると、その様子を見かねてか、少し離れている所に居た、おそらく「玄人キャンパーのおじさん」が、何も言わず、これを使えと言わんばかりに「薪」とフライパンをはじめとする「調理器具」を差し出してきた。

僕たち2人は呆気に取られながらも、コクリと一礼し受け取った。おじさんは去り際になんとも言えない哀愁のある笑顔を見せて自分のテントに戻って行った。

あまりのさり気なささと、そのおじさんのオーラに圧倒されて、しっかりとお礼が言えなかったので後からちゃんとお礼を言いに行く事にした。

そのおじさんが「薪と調理器具」を持って来てくれたおかげもあってその場はなんとか過ごせた。

そしてひと段落したので、お礼を言いに行こうと、そのおじさんの所に行ったが、夜も深まっていたためか、すでに眠っていた様子。

今、起こしてまでお礼を言うのも悪いなと思ったので、明日の朝になったらお礼を言おうと思い、僕たちもその日は眠る事にした。

そして朝になり、返しに行こうとおじさんの所に向かったが、その時にはそのおじさんは居なかった。

2人とも顔を合わせて、「ありゃりゃ」と言う感じに。 結局、調理器具を返しそびれた上に、ちゃんとお礼も言えず終い。 心残りがあったがそのおじさんの優しさが、今もなお俺の心の中にちゃんと残っていて、俺自身も「俺と妻」のように困っている人が居たら必ず助けようと心に決めていた。

・・・・・

 、、、そして、時が経った今日、俺もあの時のおじさんの年齢と同じくらいになった時に、さっきのカップルが、まるであの日の俺と妻に見えたのは言うまでもない。

そんな昔にあった懐かしい思い出に浸っていると、先ほどの男性が苦笑いを浮かべながら困った様子で、また俺のところに戻ってきた。

男性:「すみません、、、。やってしまいましたぁ、、、。」

俺:「どうしたの?、、、(まさか???)(笑)」

男性:「食材を焼いたりするための、鉄板とか網を忘れてましたぁ(笑)」

男性と俺:「!!!(笑笑)!!!」

もう、昔の俺を見ているようで、その時には他人と言う壁は同じキャンパーと言うこともあってか、なくなっていた。

俺:「あれ?彼女さんは?」

男性:「いやぁ、さすがに忘れたとは言えず、さっきチラッと見えた、その、、、”フライパン”を貸してくれないかなぁと思い、、、。」

少しこの子、図々しいかなぁ(笑)と思いつつも、実は今日、さっきの話に出てきたおじさんに、借りっぱなしになっていた調理器具の内の”フライパン”を持ってきていたのだ。

いつか返そうと思いつつ、たまに使ってはいたが、ちゃんと焼きなおしなどの手入れもしていたので、今でもちゃんと使えている。

おそらくもう30年物ぐらいだと思う。 それを貸して欲しいと言われたので、少し「うっ、、、。」っとなったが、もしあの時のおじさんだったら貸していたよなぁと思い、快く貸してあげた。

そうすると喜んでくれた男性が、「お礼と言ってはなんですが、僕が料理を作るので良かったら一緒に食べませんか?」と言ってきた。

少しゆっくりしたい気もあったが、こうゆうこともあまり無いだろうし、良い機会なので快諾した。

男性:「じゃあ、彼女を連れて、こっちに焚き火台や食材を持って来ますね。」

俺:「はいよ〜」

最近は「息子と娘」に会えていないので、実際に息子と娘に料理を作って貰うみたいで嬉しくなった。 焚き火台や食材を持って来た2人がやって来て、彼の方をよく見ると、何か年代物と言うか、普通では使われていなさそうな包丁などを持っていた。

少し気になりながらも、彼が全部用意してくれると言うので見ていると、着々と料理の準備を進めて行く彼の手捌きが見事だった。

俺の心の声:「なんか思ったのと違う!」

と思い、勝手にまた失敗とかしながら作るもんだと思っていたのに、段取りや食材の切り方がまぁ見事で驚いた!

俺:「なんか良い手捌きだけど、料理関係の仕事かなんかしているの?」

と、気になったので思わず聞いてみた。

男性:「あっ、ありがとうございます(照) 一応、「じいちゃん」の代から続いている普通の定食屋なんですけど、今は自分の親と切り盛りしているんです。」

俺:「あーなるほど! どおりで手際が良いわけだ!」

彼はどんどん作業を進めていく、手慣れた感じで野菜や肉を切っていき、そして貸してあげたフライパンを勢いよく振って野菜や肉を焼いていく。

俺:「しかし、彼女さんは料理ができる彼で嬉しいでしょう?」

女性:「はい、でも本当は私からも料理を作ってあげたいんですけど、彼の方が断然上手なので、料理も任せっきりなんです。(笑)」

男性:「いやでも今の時代、女性だけが料理をするのも違うと思いますし、その他の「家事」とかをしてくれてるし、何より僕がなんでも忘れっぽいので、その辺りのサポートを彼女がちゃんとしてくれているので、とても感謝しています。」

俺:「良いねぇ、なんか幸せを分けてもらっているみたいだよ。   、、、え? と言うかもう同棲かなんかしているの? まだ付き合って半年ぐらいでしょ?」

男性:「まぁ、つい最近からですけど。(照れ)」

最近の子達は早いんだなぁと感心していると、良い匂いがしてきた、どうやら料理が完成したようだ。

男性:「よしっ出来た。 簡単なもんですけど、食べてみてください。(笑)」

すると、定食屋ならではの「生姜焼き」が出てきた。

俺:「ははははっ(笑)まさかキャンプ場で生姜焼きを食べるとは思わなかったよ。」

でも、さすが定食屋の息子だけあっておいしい!

キャンプ場で食べる生姜焼きもいいもんだなぁと思い、俺のキャンプ飯のリストの一つに加わったのは言うまでもなかった。

男性:「でも、いつも使っている"フライパン"と同じ種類だったので、とても使いやすかったです。うちの定食屋もこのフライパンと同じ「タークのフライパン」なんですよ。確か創業当時、じいちゃんが使い始めたみたいでその頃からうちはタークのフライパンを使ってて、、、。」

俺の心の声:「、、、もしかして、このフライパン、彼のおじいさん、、、。あの時のおじいさんの??? 、、、なぁぁぁわけないか!!!」

、、、ガヤガヤッ、、、ガヤガヤ

その後も、「俺と若いカップル」の楽しい夜、彼の作る料理をつまみにお酒を飲んだりと、楽しいキャンプの夜は続いた、、、。

楽しく、食べたり飲んだりしているうちに、夜も深まって来て周りのキャンパーさん達も寝る準備をし始めたので、そろそろ終わることにした。

俺:「じゃあ、そろそろお開きにしようか。」

男性:「あっ、もうこんな時間か、そうですね、そろそろ、、、。今日は本当にありがとうございました。」

男性:「フライパンは、朝に洗ってから返しますね!」

そう言われて、俺はふと思った。

俺の心の声:「このまま持って帰ってもいいんだけど、この際この子が良ければ、このフライパンを譲ってみようかな? もうきっと、返すチャンスも訪れないだろうし、さっきの話しにチラッと出た彼の「じいちゃん」の事も気になるし、、、。」

と、少し言いにくいが彼に聞いてみた。

俺:「あの、良かったらそのフライパンを君が使い続けない?、、、良かったら譲り受けてくれる?」

男性:「え? いや要らないです!!! フライパンなら、家にいっぱいあるし、、、。」

俺:「、、、、。」

俺:「、、、あ、ああぁ! そうだよね! 貰ったところでだよね。(笑)」

男女:「じゃあ今日は本当にありがとうございました!」

俺:「あ、うん、それじゃあ、、、俺も久々に若い子と会話が出来て楽しかったよ。 それじゃ、おやすみなさい、、、。」

自分達のテントに戻って行くカップルを見て、かなり恥ずかしくなった。

とりあえず、眠れるか分からないが、寝袋に入って寝る態勢になり蚊帳のテント内から見える星空を、色んな気持ちが錯綜する中、ずーっと眺めていた。

キャンプ場、もとい自然の中では、虫の鳴き声や自然が織りなす「環境音」が聞こえてきてとても気持ち良い。 そうしていると、いつの間にか寝ていたようで、起きた時にはすでに朝になっていた。

木々の間から差し込む太陽の光、「チュンチュン」とキャンプ場に広がる鳥のさえずり、とても気持ちの良い朝。昨夜は遅くまで起きていたので、今朝は少し遅く起きてしまった。

ふと、目を横に向けると昨夜、料理に使った「フライパン」が置いてあった。 フライパンはきれいに洗っており、さすがは定食屋という感じ。

フライパンを手に取ると、下に置き手紙があった。

置き手紙:「昨夜はありがとうございました。おかげで助かりましたし、楽しい夜を過ごせました。 今朝、用事があるのを思い出したので、(また忘れてました(笑))早めにキャンプ場を出ることにしました。 お礼を言おうと思ったのですが、気持ち良さそうに寝ていたので、無理に起こしたら可哀想だなぁと思い、置き手紙を書かせてもらいました。 もしあれだったら家の定食屋の「店の名前」とその「住所」を下に書いてあるので、良かったらいつでも来て下さい。 その時は無料でご馳走させていただきます。今回は本当にありがとうございました。」

丁寧に書いてあるのを見て、「こちらこそありがとう、、、。」と思いながら、店の住所を見たら、どうやら町外れにあるお店みたいで、自分の住んでる地域からは少し離れている所にある様子。

少し遠いが、近いうちに行こうかな、などと考えているとキャンプ場に1組また1組と新たにキャンプをしに来る人達が来はじめた。

と共に、キャンプ場を後にする人達もいて、新たな人達によるキャンプ時間が始まっていくのを感じながら、朝食とコーヒーを済ませ、俺もキャンプ場を後にした。

キャンプ場の帰り、車の中でふと昨夜のカップルのことを思い出していると、そこから自分の息子や娘のことを思い出していた。 最近は連絡もないし、こっちから連絡をするのは少しくすぶっていたが、思い切って掛けてみようかなと思った。

でも、俺から掛けるのは変に思われるかもしれないから、妻に掛けてもらおうと、、、。

今回のキャンプで、いろんなことを感じ、考えさせられた、やっぱりキャンプは良いな。 キャンプは、キャンプや自然を楽しむのはもちろん、人との出会い、そこから生まれる物語りを経験させてくれる。

また、来週もキャンプに行こう、その時は妻も連れていくか、、、。 いっそのこと子供達も連れて行きたいが、それは少し難しい話しだな、、、。

次のキャンプで食べるキャンプ飯や使うギアのことなどを考えながら、今回のキャンプも終わった、、、。

【短編小説】 俺のソロキャンプ『後編』

終わり

【短編小説】俺のソロキャンプ『前編』

 

キャンプ

 

 「※この話は、どこにでも居るごく普通の中年男性の「キャンプ」の話。(フィクションです。)」

 

 

【短編小説】俺のソロキャンプ『前編』

 

 50歳を過ぎて子供も自立してから、ファミリーキャンプではなく、ソロキャンプをする事が多くなった俺。

 

今週は土曜と日曜日が休みなので、今回は久々の泊まりのキャンプに来ている。

 

場所は、一年程前にソロキャンプを始めた頃から来始めている、山奥のキャンプ場。

 

俺は「春夏秋冬」それぞれの季節で、このキャンプ場を経験していて、キャンプ場周辺の見所などをそれなりに把握している。

 

それにしても仕事か年齢か最近は少し疲れ気味で、今日は朝10時からキャンプ場に来ているが、テントやら何やらをある程度設営し終わったら、いつの間にか寝てしまっていた。

 

起きた時にはもう昼過ぎ、とりあえず昼食をと思いカップラーメンを食べて、昼食後は読書をしたりキャンプ場の付近を散策したりした。そうこうしているうちにいつの間にか夕方になってた。

 

最近一日の時間がとても短く感じる、、、でも本当のキャンプの時間は「ここから(夜)」だと、俺は思っている。

 

このキャンプ場は、今では珍しく「直火OK」のキャンプ場だが、今回は新しく買っていた「ピコグリル」の焚き火台を使うと決めている。

 

「ムフフッ、、、。」

 

妻に内緒にしていた「ヘソクリ」で買った。 

 

1万4000円はしたが(たけぇぇ)、最近YouTubeSNSでよく見ていて、つい欲しくなり買ってしまった。

 

今日はこの焚き火台で、焚き火を堪能した後は「ステーキ」を喰らうと決めている。

「おっと、よだれが、、、。」

 

ステーキと言えば、昼間に声を掛けた青年が、帰り際に声を掛けてくれて、「今日の夜のキャンプ飯はなんですか?」と聞かれたので、

「今日は「ステーキ」だよ。」と言ったら、青年が羨ましそうな顔をしてたのを思い出した。

 

そう言えば、あの青年が使っているタープが、自分が欲しいと思っていたタープだった。 確かあれは「DD hammocks」のタープだったような?

 

俺自身、年齢が50歳を過ぎた辺りから少し渋い感じのギアが欲しくなってきている。 今使っている、タープやテントは蛍光色の緑色とか黄色が入っているものだし、そこまで派手ではないけど、やっぱり年相応のが良いし、そもそもほつれとかスリ傷みたいなのとかも増えてきたので、そろそろ買い替えたい頃。 

 

ついでに、同じくDD hammocksから出ている「ピラミッドテント」も良いな。 でも、今月はもうお小遣いもヘソクリもあんまりないから諦めるしかない。

「来月にでも買おうかな?、、、。」

 


「リーン、リーン、リーン、、、。」

 

辺りも暗くなって来て、少しずつ鈴虫やコオロギの鳴き声が目立つようになって来た。 そしてこの時間帯になって来て、より楽しめる事が、、、。

 

そう「焚き火Time」。

 

新しく買った、ピコグリルを組み立てる。

「カチャン、ガチャ、ガチャ」、、、。金属音の当たる音が夜のキャンプ場に響く。 今はまだ新品だが、いずれ、このピコグリルの使い込んできた感が出るのも楽しみのひとつだ。

 

「薪」はキャンプ場に落ちている木の枝などを拾う事もできたけど、自然の物は湿気が残っていて「煙」が出やすいので、事前に比較的乾燥している、ホームセンターの薪を買っておいた。

 

薪の種類は「針葉樹」か「広葉樹」で少し悩んだが、焚き火を長い時間楽しみたいので、今回は広葉樹にした。

 

そして、ピコグリルに薪をくべていく。 パッと見、ピコグリルは足も細くて安定性がなさそうだが、意外にいけそうだ。

 

すると予想はしていたが、薪が少し大きかったようで、少々はみ出している。 そう言えば、ピコグリルを使っている人の写真や動画を見ると、たまにはみ出しているのを見たな。(笑)

 

それはいいとして、さっそく火をつける事に。 今回はシンプルに「マッチ」でつける。 薪に火をつける時のコツとしては、薪をくべる時に例えば「新聞紙→細い木の枝→中くらいの木の枝」と徐々に燃えやすいものから、薪を大きくしていくと良い、、、とYouTubeで知った。「YouTube様々。」

 

マッチを擦り、ほぐした麻紐に火をつける。

 

小さく細い木の枝から徐々に燃えていく、火力が増していくとともに、広葉樹の薪も徐々に燃えていく。

 

そして、暗い夜のキャンプ場のひと隅が焚き火で明るくなっていく。

 

不規則に揺れる「焚き火」、、、。

 

焚き火の灯りに照らされる、テントや周辺の木、、、。

 

この感じ、この時間が大好きだ。

 

この心が落ち着く感じがなんとも言えない。

いっときの癒しの時間を堪能する。 

 

「パチッ、パチッ」、、、、、、。

 


そして周りに居たキャンパー達も、こぞって焚き火をし始めた。

暗い夜のキャンプ場、、、周りを深い森に囲まれたキャンプ場が焚き火の灯りによって照らされていく。 一度、この焚き火によって照らされたキャンプ場を、「空」から眺めてみたい。(笑)

 

「パチッ、パチッ、パチッ」、、、、、、。


焚き火を堪能していると、いろんな所から良い匂いがしてきた。 夜飯の時間かな。

「よしっ、俺もそろそろ”焼くか”」

 

今回は久しぶりの泊まりのキャンプと言う事で、奮発して買ったこの「カイノミステーキ!」。 これは絶対に美味しいはずだ、妻にはもちろんこのステーキを買ったことは言っていない。

 

「妻よ、安心しろ、”約一人前だ”。」

 

バックからフライパンを取り出し、煌々と燃える薪に直に載せて、少し温める。 そして、頃合いを見て、ゆっくりとステーキを載せていく。 ステーキの端が熱くなったフライパンに触れると

「ジュ〜!!」

そのままステーキ全体がフライパンに触れ

「ジューー!!」

ステーキの焼ける音が広がるとともに油が跳ねる。

「ジューー!!パチッパチッ!!」

 

これはもう、おいしいのは確定。 こんなお肉はもう滅多に食べられないので、記念に写真を撮っておくことに。

 

焼き面を変えると、かなり良い感じに焼けている。

多分、今までの人生の中でこんなにお肉を見つめていたのは初めてだと思う。 そして、良い感じに焼けてきたのでいよいよ食べることに。 もはや、生唾を飲みすぎてお腹がいっぱいになりそう。

 

一口食べる、おもむろに二口目も行く。

「おいしすぎて言葉が出ないとはこのことか、、、。」

今までグルメ番組に出ていたタレントのリアクションを見て、「大袈裟だなぁ〜!」と言っていた、自分を叱ってやりたい。

 

こんなにおいしいお肉を一人だけ食べてると、少し罪悪感が湧いてきた、、、。 給料が入ったら、妻にも食べさせてあげよう。

 

今日は、本当に贅沢な日だ。

 

ふと、空を見上げると「星」がたくさん。 さすがは山奥ってだけあるな、何回かここに来ているが、ここまで綺麗なのは初めてかも知れない。 それとも、おいしいものを食べて気持ちが高揚しているから、余計、綺麗に見えるのかも?(笑)

 

合掌。「ご馳走様でした。」

今からは、星を眺めながらゆっくりコーヒーでも飲もうかな、、、。

 

、、、。

 

男女二人:「あのぉ、すいませ〜ん」

 

俺:「え?、、、。あっ、はい」

 

すると、若い男女が俺に話しかけて来た。

 

俺のソロキャンプ『前編』

続く

【日記】 電波の入らないキャンプ場での出来事。 その「内容と反省点」

山奥のキャンプ場でのキャンプの様子

 

 先日、久しぶりのキャンプに行って来て、まぁそれなりに楽しかったんですけど、(キャンプの様子はまた別記事で書けたら書きたいと思います。) キャンプ中に「ある事」が起きたので、今日はその話を日記的にですが紹介したいと思います。

 

まず最初にその「キャンプ場の詳細」「何が起きたのか」をホント簡単に書いておくと。

 

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【キャンプ場の詳細】

そのキャンプ場は「管理人のいない、無料キャンプ場」という事と「電波が入らないキャンプ場」。 さらには「電波が入る所は来た道を、車で10分前後、戻った所。」であるという事。(戻る道は所々「ガタガタ道」がある。)

 

【何が起きたのか】

キャンプに来ている、親子三人(お父さん、お母さん、娘さん)が居て、そのお母さんと娘さんが、少し岩場がある川の近くに行っていたところ、そのお母さんが足を踏み外したのか、その「川の辺りでケガをした」らしく、娘さんが慌ててテントまで戻りお父さんに伝えた後、「僕の所に来て、救急車を呼んで欲しいとの事で、僕は了解して、電波の入る所まで行き119番をし救急車を呼んだ」。 結果的には、ケガはしていたが命に別状はなかった。

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ざっくりと書きましたが、先に僕が共有しておきたいなと思ったことを書いておくと、「携帯の電波が入らない場所で他の誰かがケガ等をした時の対処法はどうしたら良いのかを常日頃から考えておいた方が良い。」ということです。

 

ここから、もう少しその時の様子などを具体的に書きます。 これを呼んでいる読者さん(自分)だったらどういう対応をしたかな? 、、、と考えて頂けると良いのかなと思います。

 

 まず、僕は昼寝をしていて目が覚めたので、寝ぼけまなこで使わないギアを片付けていたところ、娘さんが慌てた様子で僕のところに来て、僕に「母が川の所でケガをしたので、救急車を呼んできて下さい!」と言われました。

 

確かに、その川の近くには少し岩場があって、もしかしたら足を踏み外して岩にぶつかったのかなぁ?と思い、僕は、少し眠い感じのまま、すぐに了解して車に乗り、電波の入る場所まで行こうとしました。 だけど、その「お母さんの容態を聞くの忘れていた」ので、車を降りてその親子を少し探したんですが居なかったので、探している時間が勿体ないなと思い、電波の入る所まで大急ぎで車を走らせました。

 

そして、10分前後車を走らせたら、僅かに電波が入ったので119番をしました。 でそこから15分程経ってまずは消防車が来たので、ぼくの誘導でその電波の入らないキャンプ場まで、また10分前後かけて戻りました。戻った後、5分ぐらいして救急車が来ました。

この間の合わせた時間はおよそ「30分〜40分」程。

 

で、現場で救急隊員が応急処置をして病院に行ったんですけど、その病院までは多分20分程はかかったんではないのかなと思います。

 

で、僕の憶測ですが、ケガをしてから病院に行くまで、「1時間程は掛かった」と思います。

 

とまぁ、これが電波の入らないキャンプ場で起こったことなんです。

 

結果は大丈夫だったんですが、ここで僕が反省しなきゃいけないなと思ったのは、「『そのお母さんの容態しっかりと確認しておく』という事を怠っていた。」と言うこと。

 

まぁ言い訳をすると、半分眠っていたような感じだったので、一度その事に気づいて聞きに行こうと思ったんですが結局探せずで、とりあえず119番しないといけないなと思い電波の入る所まで行きました。

 

なので、最初に「救急車を呼んでください」と言われた時点で、娘さんに「容態」確認するか、それか、自分の目で見て「容態」を確認しておく。 、、、をしておくべきだなと思いました。

 

容態を聞いていなかったので、救急隊員に「容態の詳細」をうまく伝える事が出来ませんでした。

 

なので、容態によっては、一刻も争う場合がなきにしもあらずなので、到着した時にスムーズに対応できるように「ケガをした人の容態は聞いておく確認しておく」ことはすごく大事だなと思いました。

 

それとですが、これはその「ケガをした人の容態にもよる」んですが、何せ「電波が入らない場所」なので、一刻を争うような容態であった場合にとりあえず「電波の入る所までケガをした人を移動」させておいた方が良いのかなと思いました。

 

ホントにこれは、「その人を動かさない方が良い場合もある」ので、なんとも言えないですが、例えば「意識が無い」「脈が無い」「出血等がヒドイ」場合などは、電波の入る所まで移動させて、そこで119番をして、救急隊員の指示に従う、、、。

 

と、言ったように、やっぱり、しっかりと容態は確認して、そこから臨機応変に対応すことが大事、さらに言えばそう言う不測の事態にも対応できるように常日頃から意識しておく、学んでおくことが大事だなと思いました。

 

正直言えば、まさかこう言うことが起きるとは思っていませんでしたし、自分自身の事ならまだしも、他の人の事となると瞬時に対応策を考える事が出来ずにいた自分がいました。

 

なので、繰り返しになりますが、「『携帯の電波が入らない場所』で他の誰かがケガ等をした時の対処法はどうしたら良いのかを、常日頃から考えておいた方が良い。」という事は強く思いました。

 

あと勿論、ケガをした人が自分自身であったり、または男性か女性か、お爺ちゃんかお婆ちゃんか、などでもその時の対応は変わってくると思うので、完璧に対応は出来ないかもしれませんが、こういうことが起きるかも知れないという気持ちを持っておいた方が、実際に起きた時に何も考えていない時よりかは、幾分かは冷静に対応出来るんではないのかなと思いました。

 

この出来事が自分自身に起きた事だと思って、自分なりに考えて貰えたら良いのかなと思います。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。