ソライト

自然や旅、キャンプやアウトドアに関する事などについて、自分が感じたことや思った事などについて書いています。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『後編』

 

夜に横になりながら焚き火に当たっている様子

(今回の記事は下の記事『中編』からの続きになります。)

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『前編』はこちら)

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 僕は釣りを共にした女性を見送ったそのあと、自分の宿営地に戻って来た。 そしてさっそく先程釣った、30センチ越えの大ヤマメを串焼きにする為、集めておいた、木の枝の中から串焼きの串に使えそうな、良い長さと細さの木の枝を探して加工し始めた。

まずは魚を刺しやすくするために、枝の先を尖らせるようにナイフを使い削っていく。 そして木の皮はナイフを立てて削っていき、仕上げとして杉の葉を木の枝に包み、それを握り込んで、余った木の皮を握りながら削ぎ落としていく。

これでとりあえず串は完成した。そして今度はご飯を炊く飯盒を吊るすためのトライポッドを作る事に。

僕はとりあえず、少し長めで、握った時に指と指がギリギリ触れ合うぐらいの太さの木の枝を3本集めた。そしてその3本の上の方をロープでしっかりと巻き付けて、3本の木をカメラの三脚のように広げて完成! 、、、と至ってシンプルな構造でできた。

それと、これだけでは飯盒は吊るせないので、飯盒を吊るすための木の枝も作る事にした。 僕はまず「枝分かれ」をしている木を選んだ。その枝分かれした部分を、トライポッドの3本の木が交差した部分に、引っ掛けるようにして使うからだ。

そしてその、枝分かれをしている反対の方の先端から2センチぐらいの所に、飯盒の取手を引っ掛けるための切り込みを入れた。 「よしっ、これで飯盒は吊るせるな!」 とりあえず飯盒を吊るすためのトライポッドは完成したので、すぐ次の準備に取りかかった。

「じゃあ今度は、お米を洗って少しの間、水に浸けとこう」

僕は飯盒に、ジップロックに入れておいたお米を入れ、お米を洗うために川の方へと向かった。 川へ向かう途中、朝から何も食べていないのでおもわずお腹が鳴ってしまった、、、。「ぐぅ〜、、、。」

川に着き、飯盒をしっかりと持って川の水をすくい入れる。そして飯盒の中でシャカ、シャカと音を立てながら洗い、また川の水をすくっては洗う、のを繰り返した。そして僕は川辺でお米を洗いながらふと空を見上げた。

すると、川沿いに立つ木々の間からはキレイな夕焼けが、、、。 僕はキレイだなぁと思いつつも「(あ、もうこんな時間かぁ、急がないと暗くなるな、、、。)」と思い、急ぎ目に飯盒の中にお米よりも倍くらいの川の水を入れて自分の宿営地に戻った。

宿営地に戻った僕は次の準備として、すぐに捌いたヤマメを焼けるように、焚き火の準備をした。 まずは細い木の枝を焚き火用に掘った穴の中心に置いて、その上に先に置いた細い薪よりも一回り大きい薪を置く、言った感じで徐々に薪を大きくしていった。

そして、いつでも焚き火ができる準備ができたので、今度は釣ったヤマメを捌くことに。

僕はヤマメを寝かせそっと押さえて、肛門から喉元までナイフを入れて、腹ワタやエラ、血合いを取り除いた。 今回釣れたヤマメは30センチ越え、出てくる内臓もそれなりに大きいし多い。 そして捌いたヤマメに串を刺し、持参しておいた塩をひとつまみ、それをパラパラとヤマメの背中側とお腹側に振り掛けた。

「よしっ、これでヤマメを焼く準備はできた」

僕は先に準備しておいた焚き火の一番下の方に、ほぐした麻紐を置いて、火を着けることに。 バックパックの中から火起こし道具をまとめ入れた、缶ケースを取り出して、僕はどの火起こし道具で火を起こすか少し考えた。

缶ケースの中にはマッチ、メタルマッチ、火打ち石等のセット、麻紐がある、僕は原始的な火起こしとして麻紐と木の枝を使って、木と木をすり合わせて火起こしをする、摩擦式発火法にしようかとも思ったが、うまく火を起こせず、時間がかかってしまうことを恐れて比較的簡単なメタルマッチで火を起こす事にした。

まずは、ほぐした麻紐の上に、メタルマッチで削り出したカスを落として、そのカスに向かって火花が掛かるように勢いよくメタルマッチを擦った。

「バチッ!バチッ!」と言う音ともに火花が出て、そのカスにうまく引火してさらにほぐした麻紐に火が着いた。そして細い薪から次に大きい薪へと火が移って行き、徐々に焚き火らしくなってきた。

そして僕は、ヤマメが刺さった串をヤマメの背中側に焚き火がくるように、地面に刺し、じっくりと焼き始めた、、、。

、、、辺りはすっかり暗くなってきていた。 木々が生い茂る川沿いの宿営地で、焚き火がひときわ明るく見える。 そしてその焚き火をバッグにしたヤマメの串焼きの様子がこれまた良い。 僕はいっとき間、その雰囲気をじっくりと味わった。

、、、僕はその雰囲気に飲まれてしまい10分ほど焚き火と焼かれるヤマメを見ていた。 焚き火に少し薪を足したりしながら、先に用意しておいた、米の入った飯盒をトライポッドに吊るして炊き始める事に。

ヤマメが焼けるのと米が炊けるまでの間まで少し時間があるので、僕は焚き火の火が自分に当たりやすくなるように焚き火の後ろに壁となるリフレクターを作る事にした。

まずは壁となる木の枝を支えるため、木を4本用意して左右に2本ずつ地面に刺した。そしてその左右2本ずつ置いた木の間に届く、長さの木を良い壁になるくらいまで積み上げて、リフレクターは完成した。

「(うん、良い具合に焚き火の火が自分に当たるようになった)」

そして焼いていたヤマメの背中側も良い具合に焼けてきたので、今度はお腹側を焼く事にした。 、、、僕はマットに横になりながらまた、焚き火と串焼き中のヤマメ、そして吊るしている飯盒をいっときの間、眺めていた。

何気に僕はこの時間が好きだ。 マットに横になりながら積み重ねている薪を手に取り、焚き火に入れていく。

、、、耳を澄ますと、焚き火の「パチパチッ」となる音と鈴虫の「リーン、リーン」と鳴く声が響いているが聴こえる、、、。

そしてブクブクと泡が出始めフタがカタカタと鳴っている飯盒を、トライポッドから取り出し、少しのあいだ蒸らす事に。

もう少しで今日初めてのご飯にありつける。そう思うと僕の気持ちが少し高揚してきた。そして僕は、さらにこの宿営地に良い雰囲気を出す為、バックパックからお気に入りのオイルランタンを取り出して、焚き火の明かりがあえて届いていない所にそのランタンを置いて火を着けた。

焚き火の勢いよく燃えている火とランタンの中で燃える小さな火、その両極端な出方をする火を僕はじっくりと、交互に味わった。

そして、串焼きにしているヤマメを確認するとなかなか良い具合になっていた。さらに飯盒の中の米も確認する。 フタをそっと開けると、白い湯気と共にご飯の甘い香りが僕の宿営地、全体に広がった。その匂いを嗅ぐと共に口の中にジュワっと唾液が出てくる。

、、、今日は朝から何も食べていない、、、今、口の中はなんの食べ物の味にも犯されていない、、、。 この状況の口内に僕は最初、「ヤマメの塩焼き」か「炊きたてのご飯」を食べるかを迷った、、、が、しかし釣ったヤマメをキャンプで串焼きにして食べるなんてなかなか出来ることではないぞ! 僕はほとんど迷う事なくヤマメが刺さっている串を手に取った。

「、、、ゴクリッ」、、、唾を飲む、、そして大口を開けて塩の香りがほのかにするヤマメのお腹部分に思っ切りかぶりついた、、、。

僕は一口、二口とじっくり噛みしめる、、、。

「うっ、う、うまいっ!!!美味!!!」

カリッとした皮にジューシーな身、口の中に広がるヤマメの旨味、脂味、塩味の三味が僕の飢えた口の中を、あたかもまだ生きているヤマメのような感じで乱暴に駆け巡っているようだ! 僕はもう一口かぶりつき、口の中にヤマメの身が残った状態で、炊きたてホックホクのご飯もありついた!

「はぁ〜っ! この上ない幸せ!」

僕は多分このキャンプ場の中で一番に幸せなひとときを過ごしてる、とそんなことを思いながら、その後も至福のキャンプ飯を食べ続けた、、、。

、、、、、、。

「ご馳走様でした!」 僕は最高のキャンプ飯を食べてお腹いっぱいになったのも束の間、続いて寝る準備に取りかかった。 少し炭火とかした焚き火を横にズラして、新たに薪を組み始める。これからは寝袋に入るので、なるべく長時間燃え続けてくれるような薪の組み方をする事にした。

まずは大きい薪を一番下に隙間なく並べていく。そしてその上に先に置いた薪よりも小さい薪を互い違いにしてだんだんと載せていく。 積み上げた薪の形はまさにピラミッド状のような感じ。

そしてその一番上に先程の炭火とかした薪を載せ、燃え出すのを待つ事にした僕は、その間にバックパックの中から寝袋を取り出して寝る態勢になる。

、、、寝袋に入って仰向けになる、するとそこには木々の間からかすかに見える、星が、、、。 星つぶがキラキラと光るその様子に見惚れていると、徐々に火が大きくなっていく焚き火の灯りで、生い茂っている木々やその葉っぱが照らされていった。 焚き火の暖色に染まった木々、そしてそのバックにかすかに光る星、、、。その風景を見ながら僕はそのままフェードインするようにまぶたを閉じて、眠り世界に入っていった、、、。

、、、、、、。

「ザァー、チュン、チュン、ピーッ、ピーッ、ザァー、、、。」

そして翌朝、、、川が流れる音と鳥の鳴き声が響く中、僕は目を覚ます。 眠い目をこすりながら焚き火の方を見ると、すっかり灰と化した焚き火がそこにはある。僕は寝袋から出てグッと背伸びをする、すると僕の気配に気づいたのか鳥たちが、バサバサッー!と飛んでいくのが分かった。 さらに背伸びをしている僕に木々の間から太陽の陽が当たり、ほのかに暖かさを感じた。

気持ち良い朝。 僕はマットの上に座り、帰る前に少しだけ焚き火を楽しもうと思い、再び簡易的に薪を組んだ。 そして缶ケースの中から火打ち石で火を起こすためのセットを取り出し、その中から自作のチャークロス、火打ち石、そして2種類持って来ていた火打金を出した。 ここで2種類ある火打金、どちらを使おうか迷っていると、宿営地を探している様子のキャンパーさんが現れた。

そのキャンパーさんは僕に話しかけて来た。「あっ、どうもこんにちはぁ」

「こんにちはぁ、宿営地探してるんですか?」

「そうですそうです。 それにしても良い感じの基地が出来てますね! ギアが自然に溶け込んでいてめっちゃ良い感じです!」

その言葉を受けて僕は嬉しくなった。「いやいやぁ、そんなことはないですよ」

「おっ? 今から火起こしですか?しかも火打ち石で!?良いですねー! 僕も最近になって、ブッシュクラフトスタイルに憧れて火打ち石を使って火起こしをしてみたいなぁなんて思ってたんですよ! ちょこっとだけ火起こしする所を見てても良いですか!?」

僕は一瞬、「うっ、、、どうしよう」とも思ったが、僕の宿営地を褒められたのと、ブッシュクラフトに憧れる同士として快く「全然良いですよー!」と言い、火起こしを始めた。

僕は「指で挟んで使うタイプの火打金」と「ナックルの様に握り込んで使うタイプの火打鎌」から、指で挟んで使う火打金を選んだ。 そして火打ち石とチャークロスを左手で持ち、右手に火打金を持って勢いよく火打ち石を弾いた。 弾くと火花が出て一発でチャークロスに乗った。 僕は心の中で「(うおぉぉ、一発で乗ったぁぁ)」と思い、少し気持ちが高揚したが、何くわぬ顔でそのチャークロスに付いた火種を、組んである薪に着けて見事に焚き火をつける事に成功した。

するとその様子を見ていたキャンパーさんが「うわぁ、スゴイ!一発で付けた! さすが上手ですねー!」と言ってくれた。

僕は、実は普段だと、ここまでうまいこと付けられないんだが、少し玄人キャンパーに思われたいと思って、つい「いやぁ、慣れれば簡単ですよー!」なんて事を言ってしまった。

と、続けて調子に乗った僕は、「良かったら、使ってみますか?」と言うと、そのキャンパーさんも嬉しそうに「良いんですかぁー!?」と言って、別に僕は人に教えられるほど上手い訳ではないがそのキャンパーさんに火打ち石を使った火起こしのレクチャーをし始めた。

しばしの間、火起こしのレクチャーが続き、いざ着けるとなったそのキャンパーさんは緊張した様子で、火打金を持ち勢いよく火打ち石を弾いた。 1回、2回、、、何度も打ち続ける、、、。

「うわぁ、火花は出るけど、なかなかチャークロスに火花が乗ってくれない!」

と言う、キャンパーさんに対して僕は、得意げに「いやぁ最初はそんなもんですよーっ」と言う。

その後もひたすらに打ち続けるが、なかなか着かない様子だったので、僕はもう一つの火打鎌を使ってみるように促した。

そのキャンパーさんは少し悔しそうだったが、もう一つの火打鎌を手に取り、勢いよく弾いた。 すると一発でチャークロスに火花が乗った。

「わっ!やったー! 乗りましたよ!」とすごく嬉しそうだった。

それを見た僕は、心の中で「(えぇぇ、いっぱつぅぅ!?マジかよ!?)」と思った。

そしてえらく喜んでいたそのキャンパーさんを見た僕は、その火打ち石とナックルタイプの火打鎌をあげる事にした。

「えっ!? いいんですかぁ!? もらいます、もらいます!」と言ってとても喜んでくれた。

そして僕とそのキャンパーさんは着けた焚き火が消えるまでの間、キャンプ談議もといブッシュクラフト談義をした、、、。

そして焚き火が灰と化してきたので、そのキャンパーさんとの楽しい談議は終わることにして、僕は宿営地の後片付けをする事にした。

「いやぁ、朝から楽しい話ができて良かったです。火打ち石と火打鎌ありがとうございました! さっそくこの後の火起こしでも使ってみようと思います。 じゃ、またどこかで!」と言い、そのキャンパーさんは自分の宿営地探しに戻って行った。

そして僕も設営していた物や焚き火を片付け終わり、帰ることに、、、。

車の中、、、帰る道中、今回の渓流釣りとキャンプで味わったことを思い出して、優越感に浸っている僕。 そして今度はフライフィッシングやハンモック泊にも挑戦したり、さらにブッシュクラフトスタイルに磨きをかけていこうと思いながら、今回のブッシュクラフトキャンプは終わった、、、。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『後編』

終わり

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『中編』

渓流の様子

 

(今回は下の記事からの続きになります。)

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 僕は、釣り道具を持ってまずは、川の下流の方へ向かった。 少し歩いてやっぱり気になる、、、ふと後ろを振り返ると自分が設営した宿営地。、、、うん、やはり良い感じだ。

アースカラーのキャンプギアが自然に溶け込んでいる感じがなんとも良い。僕は思わずスマホを取り出して写真を撮った。

写真を撮り終わって僕は再度、下流の方へ向かって歩き始める。 川に沿って林の中を歩いていると、川の流れが変わる場所があり、その度に川の音色も変わる。

岩と岩の間や少し落差のある所は、「ザァザァー!、、、。」と、、、平坦が続く所は「チョロチョロチョロ〜ッ、、、。」と静かな川のせせらぎと言った感じの音色。

2つとも両極端の音色だが、そこが川の良いところ、更には言えばその音色と共に鳥の鳴き声や微かに夏の面影残るセミの鳴き声。 それはもう自然の音楽にすら聴こえる。

僕は自然の音楽を聴きながら歩いた。そして林の方からさらに川に近づき、石や岩が転がっている上を移動し始める。 足元にはゴツゴツとした石や岩、もし転んで頭など打ったら危険だ。僕は集中して歩く、、、。

キャンプ場から下流に向かってある程度、歩いて来た。「よしっ、この辺りから、上流に向かって渓流釣りスタートだ。」

季節はは秋口、この時期は大きいサイズが多いと聞くので、もちろん大物狙いでいく。 ヤマメにイワナ、アマゴなど、どんな魚が釣れるかが楽しみだ。

ちなみに今回はルアー釣り。持って来たルアーの種類は一応「ミノー、スピナー、スプーン」を持って来たが、とりあえず今回は「※ミノー」を使う事にした。 僕はルアーをセットして、ひとまず様子を探る為にいろんなポイントに投げ入れた。(※小魚のかたちをしたルアー)

竿さきを「チョン、チョン」と動かしてみたりと、上流に向かって移動しながら、投げ込むポイントも変えながら何度も投げる。 瀬や落ち込み、流れ込みなどに投げていく。しかし季節はシーズン終了時期の秋口、春や夏の時期みたいにそう簡単にはなかなか釣れない、けど、大物が釣れる可能性もある、じれったい感じそれがむしろ楽しかったりする。 何度トライしても釣れなくて、それでも諦めずにトライして釣れた時の喜びと言ったら、、、。

その後もポイントを変えながら上流に進んで行く。そして気付いたらキャンプ場の所まで戻って来ていた。ふと、キャンプ場の方向を見ると杉林越しに煙が上がっているのが見える。他のキャンパーさんが焚き火をしているんだろう。 空に上がっていく焚き火の煙を見て僕は、釣った魚を串焼きにしているのを想像し、がぜんヤル気が出て来た。

「よしっ!大物を釣るぞ!」

ポイントを変えながら進む、キャンプ場の横を流れている川も過ぎて、さらに上流に上がって行く。しかしなかなか釣れない、大物が居そうな瀬尻やトロ場を狙って投げてみるが釣れない、、、。

「まだまだこれからっ」僕はそう言い、投げ込むポイントを変えてはさらに上流へ進んで行く。 すると上流側、前の方に同じく渓流釣りをしている人がいる様子。僕は気になって話しをしに行ってみた。

「こんにちはっ! どうです?釣れてますか?」 と、急に声を掛けたので、その釣り人は驚いた様子でこちらに振り向くと、どうやら女性の方みたいで、僕も少し驚いてしまった。

「わぁ!あぁ!こんにちは! びっくりした!(笑) 全然気づかなかったです、え、と、、、う〜ん、まぁこれくらいです、今日はあんまりですねぇ、、、。」

女性はそう言って、竹で編んだカゴの中を見せてくれた。するとその中には赤い斑点がキレイなアマゴと背中の斑紋が特徴的なイワナが居た。 僕はそれを見て「うわぁ、すごいじゃないですかぁ!僕まだ1匹も釣れてないですよぉ、、、。」と言い、続け様に「けっこう釣りをしてそうな雰囲気なんですけど、釣り歴は長いんですか?」と、使っている釣り道具がフライフィッシング用の物と、女性にしては珍しかったのでいろいろ気になり聞いてみた。

「う〜ん、どれくらいかなぁ、でも小さい時から親に連れられて一緒にしていたんで、歴だけは一丁前に長いかもですね!(笑)」

「なるほどなぁ!どおりでぇ!」

そんなの話をしているうちに、話がはずみ、少しだけ一緒に釣りをする事にした。女性は、慣れた手つきで投げていく。フライフィッシングの独特な投げ方に感動していると、いきなり当たりが来たようで、「うわぁ、キタァキタァ! これ大きいですよ!」女性はかなり必死で、でも僕はフライフィッシングのことが全く分からないので、とにかく「がんばれ!がんばれ!」と言う事しかできなかった。

すると、検討もむなしくも逃げられたようだ。「あ!だめだ!逃げられちゃったぁ! 惜しかったなぁ、でも今のは大きかったと思いますよ!」

女性は、すでに2匹釣れているので、とりあえずはもう充分といった感じだったので、それならと今度は僕が釣る事にしてみた。

「私が投げた後すぐだから警戒してるかも知れないですけど、もう一度あの深い所を狙ってみますか、、、。」と言い、女性が僕に釣れそうな所やさばき方などをレクチャーをしてくれた。

僕は今日まだ1匹も釣れていないので、この一投に全てをかける勢いで投げ込んだ、、、。

するとまさか食いついて来た! 引き的には先程のを連想させる勢いで大物間違いない!

女性は真顔で「落ち着けぇ!落ち着けぇ!一気に引くなよ!」

僕は「(うわぁ人変わってるぅ!?)」と思いながらも「はいっ!分かりました!」と言い

「今だ!引けえぇぇ!」と女性が叫んだと共に僕は「はいっ!!」と、一気に引き上げた!

「バシャァァン!」、、、と、大きな水しぶきと共に天高く上がり、太陽に照らされてシルエットと化したその姿はかなりの大物!

そして、その魚影は僕のところに落ちて来て、僕は目を閉じながらキャッチした。 暴れる魚をどうにか逃がさないように必死に抱き抱える。

少し落ち着いたので、サイズを測ることにした、するとサイズは30センチを超えているであろう大ヤマメ!

僕と女性は2人して喜んだ。

「これは大きいのが釣れた!と言うか2人で釣り上げたようなもんですよ!と言うかあなたのお陰ですよ!と言うかこれ僕が釣ったって事で貰っていいんですか!?」僕は大物が釣れたことにより興奮していた。

「もちろんいいですよ!よかったですね!」

僕は嬉しくなり、その釣り上げたヤマメを写真に収め、とりあえず今回の渓流釣りを終わる事にした。

「いやぁ、楽しかったです! このヤマメは大きいから食べがいがありますね! 串焼きにしたり、アルミホイル焼きとかにして食べると美味しいですよ!」

「実はちょうど今日、キャンプ場でキャンプしてるので、釣れたら串焼きにしようと思ってたんですよ。ものすごく楽しみです。(笑)」

「え!? そうなんですか!? 私は昨日からキャンプしてたんですよ(笑)今日はもう片付けも終わって、その前に釣りをして帰ろうと思って、今現在に至るんですけど。」

「えっ!? 驚いたなぁ! キャンプもするんですね!? ここまでアクティブな女性はなかなか居ないですよ!(笑)」

「いやでも、釣りは前からしていたんですけどぉ、キャンプについては最近始めたんですよ! と言うのもこの前、海釣りをしている時にその場所がキャンプ場も併設している所で、とりあえず釣れたので帰ろうとしていたら、気持ち良さそうにハンモックに揺られているキャンパーさんが居て、それで私が物を落としてしまって、それをそのキャンパーさんが拾ってくれて、そこからお互いがお互いのしている事に興味があったので、釣りやキャンプについての話ではずんで、けっきょく私、その帰りにキャンプ用品店に行ってハンモックとかのキャンプ道具を買って帰ったんですよ!(笑) で、今日はその買ったキャンプ道具でキャンプと渓流釣りをしに来たって事です!」

「そうだったんだぁ! ホント、人との出会いは一期一会ですねぇ(笑) 僕も今回、フライフィッシングを見せてもらってかなり興味が湧いて来ました! もし今度また会った時、僕はフライフィッシングをしているかも知れないですよ(笑)」

そんな会話をしながら車を停めてあるキャンプ場に向かう。 そして僕はその女性を見送った後に宿営地に戻る事に、、、。

「今日はホントありがとうございました!」

「いやいや!それはこっちのセリフですよ!こんな大物が釣れたのもあなたのお陰です! 、、、それじゃ、運転に気をつけて!」

僕は、感謝の意を込めて女性の車がカーブに差し掛かり見えなくなるまで見送った。

改めて、こうして人と接するのは面白いなぁと思ったし、同じ様な趣味を持っていると言うのが尚良くて、知らない人同士でも、グッと距離が縮まるのが良い。それも釣りのお陰、さらに言えば自然と言う素晴らしい環境があるからだ。僕は女性と自然に感謝した、、、。

、、、と、感謝しながらも僕は、宿営地に帰る道中にこの釣ったヤマメの出来上がりを想像してヨダレが出そうになっていた、、、。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『中編』 続く

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『前編』

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「はい、じゃあこれが遊漁券ですね〜」

「どうも、ありがとうございます。」

、、、僕は今、渓流釣りをする為、遊漁券を貰い、山奥にあるキャンプ場へと車を走らせていた。

キャンプを始めてから、「ブッシュクラフト」と言うキャンプスタイルに憧れて、少しずつ使う道具もコンパクトになったり、原始的と言うか、逆に手間のかかる物になったりと、今では少ないキャンプ道具でキャンプをする事に慣れてきた。 ちなみに今回はキャンプと渓流釣りをして、釣った魚を串焼きにし飯盒で炊いたご飯をキャンプ飯にする予定、、、。

季節は秋口、車を運転しながら「山の方では少しずつ紅葉をし始めただろうか?」 「渓流釣りをしながら紅葉も楽しめたら良いなぁ」なんて僕は考えていた。

山奥のキャンプ場へと続く細い道、徐々に木が生い茂る原生林のような雰囲気の風景に変わってきて、車の窓を開けると、少し肌寒く感じる空気が入ってくる。 山奥へ進むにつれ段々と肌寒さも増し、それと共に木々が紅葉をし始めてきているのが分かる。

キャンプ場に着くと紅葉と緑がまだ混同していた、この風景(季節の変わり目)を味わえるのもこの季節ならでは、、、僕は車を降りて一旦立ち止まり、山奥の澄んだ空気をめい一杯吸った。

「スゥー、、、ハァー、、、。」

、、、呼吸をする度に、身体の中の何か悪いものが浄化されていくような感じさえする。美味しささえも感じる空気を、僕はじっくりと味わい、自然と一体になった、、、と思い、、、とりあえず今日の目的でもある渓流釣りをするために、車を停めた下の方にある、川の方へいく事にした。 車からバックパックと釣り竿を下ろし、ここからは緊急時以外、車に戻らないと決めて川のある方へと向かって行く。

川の方へ向かう道中も色付き始めているモミジやカエデを眺めて、自然の美しさを体感する。

そして川に近づくにつれ、川の流れる音が徐々に大きくなっていく、それまで色んな自然の音が聴こえてきたが、近づくにつれ聴こえてくる音が限られてきた。

よく耳を澄ますと、、、。

「ザァー、、、チュン、チュン、、、ザァー、、、。」

山奥のキャンプ場、川の流れる音の中に、鳥の鳴き声が聞こえる。まるで僕を歓迎してくれているようだ。気のせいだろうけど、、、。

ひとまず僕は、今回の宿営地を決めることにした。 今回は「食(魚)」と米を炊く時に使う「水」の確保を川からするので、川からなるべく近いところに設営したい。

上流にはダムも無いし最近は天気も良くて、ほぼ増水の心配も無さそうだ。 でも川の近くは夜になると今以上に寒くなると思うから、少しでも翌朝、すぐに陽の光を浴びれるよう、太陽が上がる方角に木などが遮っていない場所を選ぶ。

そして僕は好条件の場所をひたすら探した。 ちなみにこうやって場所探しをしている間にも、薪として使えそうな木の枝などがあったら拾うようにしている。時間を効率よく使う為。

「ガサッ、ガサッ、パキ、、、。」 探している途中に、落ち葉と木の枝を踏むと鳴る音が心地良くて、ついつい踏んでしまう。

そして今回の宿営地に良さそうな場所を見つけた。 「よしっ、ここにしよう! ここなら陽もあたるし、川にも近い、そして何より「平坦」だ。」

そう、ここでもう一つ僕が宿営地を選ぶ際のポイントとして求めていたのが「平坦」な場所であること。 ブッシュクラフトは、まぁ、人によるけど、僕なんかは地面にただ簡易的なシートを敷いてその上にキャンプ用マットを敷くだけなので、少しでも斜めになっている所を選ぶと、心地良く眠れなかったりする。 なので、宿営地を探す際に「平坦」な場所と言うのは重要な要素になってくる。

場所を探して数分、僕は途中に拾った薪と荷物を置き、精一杯背伸びをした。 ここが今日、キャンプをする所と考えるとなんだか家に帰ってきた気分になる。

僕はまずタープを張ることにした。 最初は長い木の枝を支柱代わりにしようと思っていたが、近くに良い感じの木が2本あったので、この木にロープを巻き付けてタープを張ろうと思う。

「よし、とりあえずタープの上の方は張った。後は下の方をペグを使い、、、。 あっ!そうだ!今回はペグを持ってきていないのでペグも作らないといけないんだった。」

僕はさっき拾っていた木の枝から良い太さの物を探し、バック横のモールに引っ掛けておいたナイフを取り出し木の枝を加工し始めた。 まずは地面に刺さり易いよう、先を尖らせて、叩く所を角を取る感じで少し丸くする。 そしてロープを引っ掛けるための切り込みを入れる。 これを2本、、、いや一応4本用意して2本はペグとして使い、後2本は何かに使えるかも知れないので一応持っておく事にした。

「サクッ、サクッ、、、。」ささくれの様にめくれ上がっていく木片、ナイフの刃を背中部分から押して削っていく。「よし出来た、、、。」 

僕は木の枝で作ったペグを使い、ビロンビロンになっていたタープを張る。ハンマーも持って来ていなかったので、近くにあった手ごろな大きさの石を使いペグを打ちつける。 「カンッ!カンッ!、、、。」 タープを張り終わりタープ下にシートを敷いてその上に折り畳み式のマットを敷いて最初の段階は完成した。

後はもう少し薪に使えそうな木を集めるのと、直火をする為の地面に穴を掘っておく。 僕は先に穴を掘っておく事にした。川の近くなので掘ったばかりだと地面の中が湿っている可能性がある。のちに火を起こす時に湿気で火が着かないなんて事にならないように、早めに穴を掘っておいて少しでも地面の中が乾燥するようにしておく事にした。

そして薪として使う木の枝を拾い集め、薪を置く際に下に木の枝を置いて、薪を浮かせて置く、こうする事で少しでも乾燥させておこうと言う魂胆だ! と、これで今回の宿営地はほぼ完成した。 

うん、なかなか無骨感があって良い! 2本の木の間にオリーブ色のタープ 、カーキ色のグランドシートにタンカラーのマット、モールが沢山付いているバックパックなど、実に無骨感! でもまだバックの中にはいろんな無骨ギアがあるので、後から出すのが楽しみだ。

とりあえず、自分好みになっていく宿営地を眺め終えて、そして僕は今回の目的の一つである、渓流釣りをするために釣り道具を手に取り、川の方へ向かって行った、、、、、、。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ

続く

【短編小説版】 自然とコーヒーを満喫する至福の休日

高千穂峰の稜線でたたずんでいる人をドローンから撮った写真

 

 2020年の年末、今年ももうあと数十日で終わる。 僕は今年最後のアウトドア活動として「霊峰 高千穂峰」に登山をしようと計画していた。

高千穂峰は標高1,574mの宮崎県と鹿児島県の県境に位置している山で、周りには霧島連峰韓国岳や今も時々だが、小さい噴火を繰り返している新燃岳があり、その中でも一際目立つ存在なのが「高千穂峰」。 宮崎県内のどの辺りからでも大体は見えて、遠くから見ると特に三角形に見える。 人によってはその三角形の形から高千穂峰の事を「三角山」と言ったりしている程。あと夕陽が沈む方向に高千穂峰はあるんだが夕焼けをバックにした高千穂峰及び霧島連峰はかなり綺麗だ。※写真①

僕自身、高千穂峰は今までに3〜4回ほど登ったことがあるくらい、宮崎県内の山の中でも特に思入れのある、尚且つ大好きな山。 その山に今年最後の締め括りと言うこととそして初めて高千穂峰でドローンによる空撮をしようとも計画している。

 そして高千穂峰登山の前日の今日、僕は仕事が終わって真っ直ぐ家に帰り、早速明日の準備をする事にした。 ドローンを出してドローンの整備不良が無いかの点検をする。 ネジの緩みが無いか、バッテリーの残量はあるか、プロペラの破損等は無いか、安全に飛行できる様に細かい所まで点検をする。 、、、僕が使っているドローンは僕自身が初めて買ったドローンで、今までも色んな場所で飛ばしてきた思い入れのあるドローンだ。 例えば宮崎県の中でも比較的手軽に登れる「双石山」。青い海と綺麗なビーチが見所の「石波海岸や青島ビーチ」など。

そして今回は初めて高千穂峰、初めての、標高1500mはある所での飛行なのでそれなりにドキドキ感もあるがそれと同じくらいワクワク感もある。

整備が終わり、ドローンとその他に必要な物もバックに入れる、そして今回の登山で何気に初めて使うのが「ハイキングポール」だ。 以前までの僕はなぜか、山では自分の足のみで歩きたいという変なこだわりがあった。 でも今回はドローンを飛ばす目的もあって、集中力が必要になってくると思われる。そこで少しでも体力温存というか、疲れない様にするために今回はその変なこだわりを捨てて、初めてハイキングポールを使うことにした。まぁ、後にそのポールの利便性というか、有ると無いのとではの違いを痛感させられたのは言うまでもなかった。 とりあえず今日、準備する事は終わったので、これからは明日に備えてゆっくり休む事にした。

そして翌朝、、、。

 年末の宮崎の朝、南国宮崎とは言えそれなりに朝は冷える。 「チュン、チュン」と言う、鳥の鳴き声と共に家の近くに立っている杉の木達が、昇ってきた太陽によって照らされ、地面に近くにある植物達も徐々にその様相をあらわにし始めた。 澄んだ空気のおかげか、植物達もいささか気持ち良さそうで尚且つまだ眠そうだ。

、、、「シューゥゥ、、、。」 お湯を沸かしている電気ケトルの注ぎ口から湯気が出ている。 高千穂峰登山当日の朝は、山頂で飲む為のコーヒーを作る準備をしている。

そして最近は、コーヒー豆を挽くところからコーヒーを作るのに凝っていて、ちなみに今回は、最近買ったコーヒーミルとポットを使う。 ミルはアンティークタイプの物でレトロ感がとても渋い、それとポット、コーヒーを作る為のポットは注ぎ口が独特な形になっていて、お湯を、挽いた豆にかけやすいように作られている。

僕が買ったポットはつや消しが良いポイントで、選んだ理由も、このつや消しが一つの理由にある。僕は基本つや消しになっているアイテムが好きだ、、、。

まぁそれはいいとして、豆をミルの器に入れて挽いていく、「ガリガリガリガリ、、、。」この豆を挽いている時の音がなんとも言えない気持ち良さがある。 挽いた豆をドリッパーに入れ、ポットにも沸かしておいたお湯を入れる。

そしてここからが集中するところ、挽いた豆が入ったドリッパーにお湯を注いでいく。 まずは一気にお湯を入れず、粉全体にお湯が行き渡るくらい入れ、30秒ほど蒸らす。 30秒ほど経ったら、円を描く様にお湯を注いでいく。この作業を3〜4回繰り返してコーヒー作りは完成。 出来上がった後は、冷めないうちに保温ボトルに入れ、これで全ての作業は完了、いざ高千穂峰に向けて出発する。

「ゴォー、、、。」

車の中から見える外の空気は、相変わらず澄んで見える。 橋を渡り、町中を通る、ひたすら車を走らせていると見えてきたのが、高千穂峰及び霧島連峰。 さすが「霊峰 高千穂峰」その威厳あるたたずまいはどの山よりも貫禄がある。

更に車を走らせていると、一際、高千穂峰を望めそうな場所があった。 せっかくなので少し寄り道をして記念に写真を撮る事にした。カメラと三脚を持って橋の上に行き、おもむろにシャッターを切っていく。 、、、それにしても今日は良い天気に恵まれた。もしかしたら今まで見た中で一番綺麗に高千穂峰が見えるかも知れない。※写真②

良い写真も撮れたので、あらためて高千穂峰を目指す事にした。 、、、車中、陽の温もりを感じながら車を走らせていると、赤く色付いているモミジやカエデのトンネルがあった。 まさか年末に紅葉が見れるとは思っていなかったので、少しビックリしたと共に植物が醸し出す美しさも感じた時だった。その紅葉のトンネルを通り抜け登山道入り口に向かう道を走る。

細くクネクネとした道を何十分も走る。 木々の間から差し込む陽が眩しくもあるが、これから高千穂峰を登る僕を歓迎している様な感じもする、、、。

、、、そして登山道入り口にある駐車場に着き、駐車料金を支払い車を止める。 到着したらすぐに登山の準備をする。 登山用のシューズを出し、キツく紐を結び。忘れ物は無いかの確認をして、ドローンやコーヒーなどが入ったバックパックを背負い、いざ高千穂峰登山の開始だ。

車を駐車している駐車場の前には鳥居があり、そこで僕は一礼をし、鳥居をくぐり前へ進む。 およそ200mほどはある砂利の道を行き少し右に曲がると見えるのが、階段と鳥居。 その鳥居をくぐった先には小さな祭壇がある。 そこでお参りをして先に進む。

 、、、そして気づけば空は青くなっており、褐色色の高千穂峰周辺の木々や大地も本来の色合いを取り戻したように思える。 そしてこの鳥居を過ぎた辺りから、この高千穂峰登山は本番を迎える。

僕はショルダーハーネスをしっかりと握りしめて歩みを進める。 石畳の山道、ゴツゴツとした道につまずかないよう慎重に歩いていく。 葉が付いていない木々の間から陽が差し込む。 そのせいか通常は寒く感じるであろう山の山腹でも少なからず暖かく感じる。

現れる石畳の階段、そこには褐色色の落ち葉がひしめき合ってる。

「バリッ、バリッ、、、。」 、、、落ち葉の上を歩いていく、普段より重い荷物を背負っているせいか、少しばかり落ち葉を踏んだ時の音も大きく感じる。更に歩みを進める。すると段々、登山道っぽくなってきた。 心なしか足を上げる高さも高くなってきている。

砂混じりの道を歩いていく、歩く度に巻き上がる砂ホコリ、その砂ホコリが僕のシューズに薄いながらも積もっていくことで、段々と高千穂峰の色に染まってくる。

着実に高度が上がってきているのが分かる、それもそのはず、少しずつ自生している植物達が少なくなってきているからだ。 そうすると、段々と景色が良くなってきた。遠くに見える霧島連峰や眼下には褐色色と緑色の大地が広がっている。

この景色を見た僕は一旦足を止め、持ってきたドローンを出し空撮ををする事にした。ドローンを出し、コントローラーにスマホをセットして、周りに人がいないかなどの安全確認をし、スマホの画面に出ている離陸ボタンを押す。 プロペラが勢い良く回りだし、2mほど上昇すると一旦ホバリングをする。 僕は再度安全確認をしてドローンを操縦する。 ドローンから転送される映像を見ながら撮影ボタンを押し空撮を開始する。 スマホの映像からでも分かるその素晴らしい景色に感動を覚えながらも慎重に操縦していく。 そして一通り撮り終えた僕は素早くドローンをしまって、まだまだ続く登山道の、先を進む事に。

するとこの辺りから、急な登りとゴツゴツした溶岩が固まった様な後を登っていく。 歩きやすい箇所を見つけて進んで行くが、急な登りに疲労を感じてきた僕は、ここで持参していたハイキングポールを使う事にした。 ポールを自分の使いやすい長さに合わせて使ってみる。 一歩また一歩、歩く度にポールを支えにして歩く。

「うん、確かに楽、、、。」重かった荷物も幾分か軽く感じる、この時、早く使っとけば良かったと思ったのは言うまでもない。

急だった登山道もいつかは終わりが来るもので、少し緩やかな道になってきたので歩きながらも周りを見てみると、着実に登ってきたんだなと彷彿させる景色が広がっている。 天気が良いのでいつもよりも遠くが見渡せるが、この時点でこんなに良い景色だと、頂上はどれだけ良い展望が見れるんだろうと少し心が躍った。

、、、進んでいると先程のゴツゴツした道とは違い、非常に歩きやすい道が続く。しかしこの道は稜線、片側には何百メートルは続いているであろう砂利や岩場がある斜面、片側には火山口に続く斜面。 登山道は2〜3メートルの幅はあるがよそ見をして歩くのは危険だ。 なので、あるきながらも景色は楽しむが、楽しみ過ぎて下に落ちていかないように足元はしっかり確認しながら歩いていく。

そして山の部分部分に付いている名称で「鞍」と呼ばれるラクダのコブの間のような場所に着くと、再び現れるのが小さな鳥居と祭壇。 そしてその付近には「ケルン」と言う幾つもの石が積まれたものもある。 その積まれた石の数を見て、今までどれだけの人が高千穂峰を登ってきたのかが分かる。

そしてここまで来たら、もう少しで山頂という事でもあると、僕の中では感じている。 ここからはまた砂利の登り道がメインになってくるので、砂利で滑らないように、一歩一歩しっかりと歩みを進め、そしてようやく山頂にたどり着いた。

、、、山頂には今にも天を貫きそうな「天の逆鉾」がたたずんでいる。 そして周りを見渡すと、確実に今まで見た中でも一番の展望の良さがそこには広がっていた。僕はこの景色はなかなか見れないと思い、おもむろにカメラを取り出して写真を撮っていく。※写真③

一通り、撮り終えた僕は、ここで朝に作ったコーヒーを飲む事にした。バックを置いて砂利のところに直接座る。 この時、本当は地面に敷くマットを持って来ておいたんだけど、自然を直に感じたいとそのまま座る事にした。

バックからコーヒーの入ったボトルを取り出して飲んだ、、、。 ここで大体の予想はついていたが、少しコーヒーが冷めていてぬるくなっていた、、、。

まぁでも、山頂で飲むコーヒーは冷めていようが美味しい!それは確実に言える。

そして、コーヒーを味わったのも束の間、ここでまたドローン撮影をする事にした。 、、、さすがは12月の高千穂峰山頂、寒いし少し風も出て来た。 僕は風の様子を確認しながら、ドローンを飛ばすタイミングを見計る。 そしてなんとかかんとか撮影もして、今回の目的でもあるドローン撮影を終えた。

と、気付いたら辺りは少しずつ暗くなって来たので、僕は最後に天の逆鉾があるところに行き一礼をして下山を開始した。

この後は、登ってきた道を再び戻っていく地味な過程になるんだが、少し暗くなって来たのもあってか、これはこれで良い景色が見れた。ここでもちろん写真を撮る、でも真っ暗になる前には登山口入り口に到着したいなと思い、急いでシャッターを切っていく。※写真④

本当、段々と暗くなって来たので、撮影を切り上げて早々に下山を再開した。 早まる足だが、下山する途中に見れる景色が相変わらず良くて、思わず写真を撮りたくなる、、、が、我慢して下っていく。 と、この下山中に本領発揮したのがハイキングポールで、特に登りの時に苦労した急な登り場では、ポールを支えにして下っていくと大分楽に感じた。 そしてやっと多くの植物が自生しているところまで降りて来た。 しかしこの時にはもう辺りは暗くなって来ていて、ヘッドライトを頼りに歩いて行く。 そしてようやく駐車場前にある鳥居に着き、疲れた身体にムチを打って最後に鳥居に一礼をして今回の高千穂峰登山は終了した。

今回の高千穂峰登山は今年最後を締め括る最高の時間だった。 そして来年にはまた、登りに行くんだろうなぁと、帰りの車中で思っている自分がいた。

 

※写真①

画像1



※写真②

画像2

 

※写真③

画像3

画像4

画像5



※写真④

画像6

 

 

キャンプギアの紹介 「ベルモント スクエアケトル2.8L」

ケトルがメインに写っているキャンプの写真

 

 今回は、家でも使えるキャンプギアベルモントのスクエアケトル2.8L」を買って、前回のキャンプで初使用したので、簡単にですがこのケトルの「概要や良い点」を紹介します。

まずは簡単にこのケトルの概要を。

①容量は満水で2.8L 適量は2.5L

②蓋のつまみが「真鍮」でそれ以外の本体はステンレス製

③茶こし付きで、IH対応、注ぎ口にフタも付いているので焚き火も大丈夫

 

【目次】

【大容量だけど大きすぎないちょうど良いサイズ感】

 このケトルを注文した当初は、少し大きいかなぁと思っていたんですが実際に物が来て触って見ると思いのほか大きくもなく、雑な言い方になりますが、「丁度良いサイズ」でした。

通常のヤカンみたいな丸い形では無くて、「スクエア型(四角)」なのでキャンプ道具として運んだりする際も通常のヤカンより、かさばらず結構良いなと思いました。

満水容量が2.8Lで適量が2.5Lと、けっこう水の入る量が多いので複数人分の飲み物用としても良いと思いますし、小さめの湯たんぽ、2〜3人分は入れられると思います。なので家族で一つ、友達同士でもこのケトル一つあれば大概は、事足りるのかなと思います。

(下の写真の焚き火台は「ユニフレームのファイアグリル(型番683040)ソロでもラージでも無く『通常サイズ』」です。)

 

【直火・IHにも対応、細かい所の気遣いが良い】

 まずケトル自体に、ゴムや樹脂製の物が付いていないので、安心して直火にかけられる事とIHにも対応しているとの事で、家でもキャンプでも使える点が良いです。 「家で使う物」「キャンプで使う物」とそこの壁が無いので、より使い込むことができると共に愛着も湧いてくるのかなと思います。(笑)

直火で使えると言う事は、もちろん焚き火でも使えるんですが、焚き火をする時に出る灰がケトルの注ぎ口から入らない様に「フタ」が付いています。

ちなみにこのフタは外す事もできます。

 

 水を入れる所のフタのつまみが「真鍮」と「輪っか」で出来ています。 なぜ真鍮なのか、調べてはみたんですが、正直この理由については分かりませんでした(笑) 素手で触った時の、熱さ防止か何かでしょうか? (理由が分かる方、コメントくれるとありがたいです!)

 

そしてこのケトルは、「茶こし」が付いているので麦茶やお茶等にも使えるんですが、細かい気遣いがあって良いなと思った点が、取り外しがしやすい様に茶こしに「ツマミ」が付いているのが非常に良い作りだなぁと思いました。

 

【今の所、悪い点が見つからない】

正直まだ一回しか使っていないので、完全にこのケトルについて網羅している訳では無いですが、今の所は非常に使いやすい印象です。

例えば、「四角くて平べったい形」なので安定感がありますし、その形もあってか(火に当たる面積が広いので)火の通りが良く思えます。 なので2.5Lと容量が多いですが、通常の丸いヤカンより、お湯が沸くのが早い印象です。

あと単純に作りがしっかりしています。 基本ステンレスで作られていると言う事もあると思いますが、その割にはそこまで重くないし持ち手を畳めば、本当2.5Lもあるケトルとは思えないほどコンパクトになるので、家族や友達同士はもちろん、ソロ用としても良いと思います。

 

まだ一回しか使っていないので、これから使っていくと更に「良い点・悪い点」が出てくるかも知れません。その時はまた記事にして共有できればなと思います。