ソライト

自然や旅、キャンプやアウトドアに関する事などについて、自分が感じたことや思った事などについて書いています。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ 『前編』

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「はい、じゃあこれが遊漁券ですね〜」

「どうも、ありがとうございます。」

、、、僕は今、渓流釣りをする為、遊漁券を貰い、山奥にあるキャンプ場へと車を走らせていた。

キャンプを始めてから、「ブッシュクラフト」と言うキャンプスタイルに憧れて、少しずつ使う道具もコンパクトになったり、原始的と言うか、逆に手間のかかる物になったりと、今では少ないキャンプ道具でキャンプをする事に慣れてきた。 ちなみに今回はキャンプと渓流釣りをして、釣った魚を串焼きにし飯盒で炊いたご飯をキャンプ飯にする予定、、、。

季節は秋口、車を運転しながら「山の方では少しずつ紅葉をし始めただろうか?」 「渓流釣りをしながら紅葉も楽しめたら良いなぁ」なんて僕は考えていた。

山奥のキャンプ場へと続く細い道、徐々に木が生い茂る原生林のような雰囲気の風景に変わってきて、車の窓を開けると、少し肌寒く感じる空気が入ってくる。 山奥へ進むにつれ段々と肌寒さも増し、それと共に木々が紅葉をし始めてきているのが分かる。

キャンプ場に着くと紅葉と緑がまだ混同していた、この風景(季節の変わり目)を味わえるのもこの季節ならでは、、、僕は車を降りて一旦立ち止まり、山奥の澄んだ空気をめい一杯吸った。

「スゥー、、、ハァー、、、。」

、、、呼吸をする度に、身体の中の何か悪いものが浄化されていくような感じさえする。美味しささえも感じる空気を、僕はじっくりと味わい、自然と一体になった、、、と思い、、、とりあえず今日の目的でもある渓流釣りをするために、車を停めた下の方にある、川の方へいく事にした。 車からバックパックと釣り竿を下ろし、ここからは緊急時以外、車に戻らないと決めて川のある方へと向かって行く。

川の方へ向かう道中も色付き始めているモミジやカエデを眺めて、自然の美しさを体感する。

そして川に近づくにつれ、川の流れる音が徐々に大きくなっていく、それまで色んな自然の音が聴こえてきたが、近づくにつれ聴こえてくる音が限られてきた。

よく耳を澄ますと、、、。

「ザァー、、、チュン、チュン、、、ザァー、、、。」

山奥のキャンプ場、川の流れる音の中に、鳥の鳴き声が聞こえる。まるで僕を歓迎してくれているようだ。気のせいだろうけど、、、。

ひとまず僕は、今回の宿営地を決めることにした。 今回は「食(魚)」と米を炊く時に使う「水」の確保を川からするので、川からなるべく近いところに設営したい。

上流にはダムも無いし最近は天気も良くて、ほぼ増水の心配も無さそうだ。 でも川の近くは夜になると今以上に寒くなると思うから、少しでも翌朝、すぐに陽の光を浴びれるよう、太陽が上がる方角に木などが遮っていない場所を選ぶ。

そして僕は好条件の場所をひたすら探した。 ちなみにこうやって場所探しをしている間にも、薪として使えそうな木の枝などがあったら拾うようにしている。時間を効率よく使う為。

「ガサッ、ガサッ、パキ、、、。」 探している途中に、落ち葉と木の枝を踏むと鳴る音が心地良くて、ついつい踏んでしまう。

そして今回の宿営地に良さそうな場所を見つけた。 「よしっ、ここにしよう! ここなら陽もあたるし、川にも近い、そして何より「平坦」だ。」

そう、ここでもう一つ僕が宿営地を選ぶ際のポイントとして求めていたのが「平坦」な場所であること。 ブッシュクラフトは、まぁ、人によるけど、僕なんかは地面にただ簡易的なシートを敷いてその上にキャンプ用マットを敷くだけなので、少しでも斜めになっている所を選ぶと、心地良く眠れなかったりする。 なので、宿営地を探す際に「平坦」な場所と言うのは重要な要素になってくる。

場所を探して数分、僕は途中に拾った薪と荷物を置き、精一杯背伸びをした。 ここが今日、キャンプをする所と考えるとなんだか家に帰ってきた気分になる。

僕はまずタープを張ることにした。 最初は長い木の枝を支柱代わりにしようと思っていたが、近くに良い感じの木が2本あったので、この木にロープを巻き付けてタープを張ろうと思う。

「よし、とりあえずタープの上の方は張った。後は下の方をペグを使い、、、。 あっ!そうだ!今回はペグを持ってきていないのでペグも作らないといけないんだった。」

僕はさっき拾っていた木の枝から良い太さの物を探し、バック横のモールに引っ掛けておいたナイフを取り出し木の枝を加工し始めた。 まずは地面に刺さり易いよう、先を尖らせて、叩く所を角を取る感じで少し丸くする。 そしてロープを引っ掛けるための切り込みを入れる。 これを2本、、、いや一応4本用意して2本はペグとして使い、後2本は何かに使えるかも知れないので一応持っておく事にした。

「サクッ、サクッ、、、。」ささくれの様にめくれ上がっていく木片、ナイフの刃を背中部分から押して削っていく。「よし出来た、、、。」 

僕は木の枝で作ったペグを使い、ビロンビロンになっていたタープを張る。ハンマーも持って来ていなかったので、近くにあった手ごろな大きさの石を使いペグを打ちつける。 「カンッ!カンッ!、、、。」 タープを張り終わりタープ下にシートを敷いてその上に折り畳み式のマットを敷いて最初の段階は完成した。

後はもう少し薪に使えそうな木を集めるのと、直火をする為の地面に穴を掘っておく。 僕は先に穴を掘っておく事にした。川の近くなので掘ったばかりだと地面の中が湿っている可能性がある。のちに火を起こす時に湿気で火が着かないなんて事にならないように、早めに穴を掘っておいて少しでも地面の中が乾燥するようにしておく事にした。

そして薪として使う木の枝を拾い集め、薪を置く際に下に木の枝を置いて、薪を浮かせて置く、こうする事で少しでも乾燥させておこうと言う魂胆だ! と、これで今回の宿営地はほぼ完成した。 

うん、なかなか無骨感があって良い! 2本の木の間にオリーブ色のタープ 、カーキ色のグランドシートにタンカラーのマット、モールが沢山付いているバックパックなど、実に無骨感! でもまだバックの中にはいろんな無骨ギアがあるので、後から出すのが楽しみだ。

とりあえず、自分好みになっていく宿営地を眺め終えて、そして僕は今回の目的の一つである、渓流釣りをするために釣り道具を手に取り、川の方へ向かって行った、、、、、、。

【短編小説】 自然の恵みを食すブッシュクラフトキャンプ

続く

【短編小説版】 自然とコーヒーを満喫する至福の休日

高千穂峰の稜線でたたずんでいる人をドローンから撮った写真

 

 2020年の年末、今年ももうあと数十日で終わる。 僕は今年最後のアウトドア活動として「霊峰 高千穂峰」に登山をしようと計画していた。

高千穂峰は標高1,574mの宮崎県と鹿児島県の県境に位置している山で、周りには霧島連峰韓国岳や今も時々だが、小さい噴火を繰り返している新燃岳があり、その中でも一際目立つ存在なのが「高千穂峰」。 宮崎県内のどの辺りからでも大体は見えて、遠くから見ると特に三角形に見える。 人によってはその三角形の形から高千穂峰の事を「三角山」と言ったりしている程。あと夕陽が沈む方向に高千穂峰はあるんだが夕焼けをバックにした高千穂峰及び霧島連峰はかなり綺麗だ。※写真①

僕自身、高千穂峰は今までに3〜4回ほど登ったことがあるくらい、宮崎県内の山の中でも特に思入れのある、尚且つ大好きな山。 その山に今年最後の締め括りと言うこととそして初めて高千穂峰でドローンによる空撮をしようとも計画している。

 そして高千穂峰登山の前日の今日、僕は仕事が終わって真っ直ぐ家に帰り、早速明日の準備をする事にした。 ドローンを出してドローンの整備不良が無いかの点検をする。 ネジの緩みが無いか、バッテリーの残量はあるか、プロペラの破損等は無いか、安全に飛行できる様に細かい所まで点検をする。 、、、僕が使っているドローンは僕自身が初めて買ったドローンで、今までも色んな場所で飛ばしてきた思い入れのあるドローンだ。 例えば宮崎県の中でも比較的手軽に登れる「双石山」。青い海と綺麗なビーチが見所の「石波海岸や青島ビーチ」など。

そして今回は初めて高千穂峰、初めての、標高1500mはある所での飛行なのでそれなりにドキドキ感もあるがそれと同じくらいワクワク感もある。

整備が終わり、ドローンとその他に必要な物もバックに入れる、そして今回の登山で何気に初めて使うのが「ハイキングポール」だ。 以前までの僕はなぜか、山では自分の足のみで歩きたいという変なこだわりがあった。 でも今回はドローンを飛ばす目的もあって、集中力が必要になってくると思われる。そこで少しでも体力温存というか、疲れない様にするために今回はその変なこだわりを捨てて、初めてハイキングポールを使うことにした。まぁ、後にそのポールの利便性というか、有ると無いのとではの違いを痛感させられたのは言うまでもなかった。 とりあえず今日、準備する事は終わったので、これからは明日に備えてゆっくり休む事にした。

そして翌朝、、、。

 年末の宮崎の朝、南国宮崎とは言えそれなりに朝は冷える。 「チュン、チュン」と言う、鳥の鳴き声と共に家の近くに立っている杉の木達が、昇ってきた太陽によって照らされ、地面に近くにある植物達も徐々にその様相をあらわにし始めた。 澄んだ空気のおかげか、植物達もいささか気持ち良さそうで尚且つまだ眠そうだ。

、、、「シューゥゥ、、、。」 お湯を沸かしている電気ケトルの注ぎ口から湯気が出ている。 高千穂峰登山当日の朝は、山頂で飲む為のコーヒーを作る準備をしている。

そして最近は、コーヒー豆を挽くところからコーヒーを作るのに凝っていて、ちなみに今回は、最近買ったコーヒーミルとポットを使う。 ミルはアンティークタイプの物でレトロ感がとても渋い、それとポット、コーヒーを作る為のポットは注ぎ口が独特な形になっていて、お湯を、挽いた豆にかけやすいように作られている。

僕が買ったポットはつや消しが良いポイントで、選んだ理由も、このつや消しが一つの理由にある。僕は基本つや消しになっているアイテムが好きだ、、、。

まぁそれはいいとして、豆をミルの器に入れて挽いていく、「ガリガリガリガリ、、、。」この豆を挽いている時の音がなんとも言えない気持ち良さがある。 挽いた豆をドリッパーに入れ、ポットにも沸かしておいたお湯を入れる。

そしてここからが集中するところ、挽いた豆が入ったドリッパーにお湯を注いでいく。 まずは一気にお湯を入れず、粉全体にお湯が行き渡るくらい入れ、30秒ほど蒸らす。 30秒ほど経ったら、円を描く様にお湯を注いでいく。この作業を3〜4回繰り返してコーヒー作りは完成。 出来上がった後は、冷めないうちに保温ボトルに入れ、これで全ての作業は完了、いざ高千穂峰に向けて出発する。

「ゴォー、、、。」

車の中から見える外の空気は、相変わらず澄んで見える。 橋を渡り、町中を通る、ひたすら車を走らせていると見えてきたのが、高千穂峰及び霧島連峰。 さすが「霊峰 高千穂峰」その威厳あるたたずまいはどの山よりも貫禄がある。

更に車を走らせていると、一際、高千穂峰を望めそうな場所があった。 せっかくなので少し寄り道をして記念に写真を撮る事にした。カメラと三脚を持って橋の上に行き、おもむろにシャッターを切っていく。 、、、それにしても今日は良い天気に恵まれた。もしかしたら今まで見た中で一番綺麗に高千穂峰が見えるかも知れない。※写真②

良い写真も撮れたので、あらためて高千穂峰を目指す事にした。 、、、車中、陽の温もりを感じながら車を走らせていると、赤く色付いているモミジやカエデのトンネルがあった。 まさか年末に紅葉が見れるとは思っていなかったので、少しビックリしたと共に植物が醸し出す美しさも感じた時だった。その紅葉のトンネルを通り抜け登山道入り口に向かう道を走る。

細くクネクネとした道を何十分も走る。 木々の間から差し込む陽が眩しくもあるが、これから高千穂峰を登る僕を歓迎している様な感じもする、、、。

、、、そして登山道入り口にある駐車場に着き、駐車料金を支払い車を止める。 到着したらすぐに登山の準備をする。 登山用のシューズを出し、キツく紐を結び。忘れ物は無いかの確認をして、ドローンやコーヒーなどが入ったバックパックを背負い、いざ高千穂峰登山の開始だ。

車を駐車している駐車場の前には鳥居があり、そこで僕は一礼をし、鳥居をくぐり前へ進む。 およそ200mほどはある砂利の道を行き少し右に曲がると見えるのが、階段と鳥居。 その鳥居をくぐった先には小さな祭壇がある。 そこでお参りをして先に進む。

 、、、そして気づけば空は青くなっており、褐色色の高千穂峰周辺の木々や大地も本来の色合いを取り戻したように思える。 そしてこの鳥居を過ぎた辺りから、この高千穂峰登山は本番を迎える。

僕はショルダーハーネスをしっかりと握りしめて歩みを進める。 石畳の山道、ゴツゴツとした道につまずかないよう慎重に歩いていく。 葉が付いていない木々の間から陽が差し込む。 そのせいか通常は寒く感じるであろう山の山腹でも少なからず暖かく感じる。

現れる石畳の階段、そこには褐色色の落ち葉がひしめき合ってる。

「バリッ、バリッ、、、。」 、、、落ち葉の上を歩いていく、普段より重い荷物を背負っているせいか、少しばかり落ち葉を踏んだ時の音も大きく感じる。更に歩みを進める。すると段々、登山道っぽくなってきた。 心なしか足を上げる高さも高くなってきている。

砂混じりの道を歩いていく、歩く度に巻き上がる砂ホコリ、その砂ホコリが僕のシューズに薄いながらも積もっていくことで、段々と高千穂峰の色に染まってくる。

着実に高度が上がってきているのが分かる、それもそのはず、少しずつ自生している植物達が少なくなってきているからだ。 そうすると、段々と景色が良くなってきた。遠くに見える霧島連峰や眼下には褐色色と緑色の大地が広がっている。

この景色を見た僕は一旦足を止め、持ってきたドローンを出し空撮ををする事にした。ドローンを出し、コントローラーにスマホをセットして、周りに人がいないかなどの安全確認をし、スマホの画面に出ている離陸ボタンを押す。 プロペラが勢い良く回りだし、2mほど上昇すると一旦ホバリングをする。 僕は再度安全確認をしてドローンを操縦する。 ドローンから転送される映像を見ながら撮影ボタンを押し空撮を開始する。 スマホの映像からでも分かるその素晴らしい景色に感動を覚えながらも慎重に操縦していく。 そして一通り撮り終えた僕は素早くドローンをしまって、まだまだ続く登山道の、先を進む事に。

するとこの辺りから、急な登りとゴツゴツした溶岩が固まった様な後を登っていく。 歩きやすい箇所を見つけて進んで行くが、急な登りに疲労を感じてきた僕は、ここで持参していたハイキングポールを使う事にした。 ポールを自分の使いやすい長さに合わせて使ってみる。 一歩また一歩、歩く度にポールを支えにして歩く。

「うん、確かに楽、、、。」重かった荷物も幾分か軽く感じる、この時、早く使っとけば良かったと思ったのは言うまでもない。

急だった登山道もいつかは終わりが来るもので、少し緩やかな道になってきたので歩きながらも周りを見てみると、着実に登ってきたんだなと彷彿させる景色が広がっている。 天気が良いのでいつもよりも遠くが見渡せるが、この時点でこんなに良い景色だと、頂上はどれだけ良い展望が見れるんだろうと少し心が躍った。

、、、進んでいると先程のゴツゴツした道とは違い、非常に歩きやすい道が続く。しかしこの道は稜線、片側には何百メートルは続いているであろう砂利や岩場がある斜面、片側には火山口に続く斜面。 登山道は2〜3メートルの幅はあるがよそ見をして歩くのは危険だ。 なので、あるきながらも景色は楽しむが、楽しみ過ぎて下に落ちていかないように足元はしっかり確認しながら歩いていく。

そして山の部分部分に付いている名称で「鞍」と呼ばれるラクダのコブの間のような場所に着くと、再び現れるのが小さな鳥居と祭壇。 そしてその付近には「ケルン」と言う幾つもの石が積まれたものもある。 その積まれた石の数を見て、今までどれだけの人が高千穂峰を登ってきたのかが分かる。

そしてここまで来たら、もう少しで山頂という事でもあると、僕の中では感じている。 ここからはまた砂利の登り道がメインになってくるので、砂利で滑らないように、一歩一歩しっかりと歩みを進め、そしてようやく山頂にたどり着いた。

、、、山頂には今にも天を貫きそうな「天の逆鉾」がたたずんでいる。 そして周りを見渡すと、確実に今まで見た中でも一番の展望の良さがそこには広がっていた。僕はこの景色はなかなか見れないと思い、おもむろにカメラを取り出して写真を撮っていく。※写真③

一通り、撮り終えた僕は、ここで朝に作ったコーヒーを飲む事にした。バックを置いて砂利のところに直接座る。 この時、本当は地面に敷くマットを持って来ておいたんだけど、自然を直に感じたいとそのまま座る事にした。

バックからコーヒーの入ったボトルを取り出して飲んだ、、、。 ここで大体の予想はついていたが、少しコーヒーが冷めていてぬるくなっていた、、、。

まぁでも、山頂で飲むコーヒーは冷めていようが美味しい!それは確実に言える。

そして、コーヒーを味わったのも束の間、ここでまたドローン撮影をする事にした。 、、、さすがは12月の高千穂峰山頂、寒いし少し風も出て来た。 僕は風の様子を確認しながら、ドローンを飛ばすタイミングを見計る。 そしてなんとかかんとか撮影もして、今回の目的でもあるドローン撮影を終えた。

と、気付いたら辺りは少しずつ暗くなって来たので、僕は最後に天の逆鉾があるところに行き一礼をして下山を開始した。

この後は、登ってきた道を再び戻っていく地味な過程になるんだが、少し暗くなって来たのもあってか、これはこれで良い景色が見れた。ここでもちろん写真を撮る、でも真っ暗になる前には登山口入り口に到着したいなと思い、急いでシャッターを切っていく。※写真④

本当、段々と暗くなって来たので、撮影を切り上げて早々に下山を再開した。 早まる足だが、下山する途中に見れる景色が相変わらず良くて、思わず写真を撮りたくなる、、、が、我慢して下っていく。 と、この下山中に本領発揮したのがハイキングポールで、特に登りの時に苦労した急な登り場では、ポールを支えにして下っていくと大分楽に感じた。 そしてやっと多くの植物が自生しているところまで降りて来た。 しかしこの時にはもう辺りは暗くなって来ていて、ヘッドライトを頼りに歩いて行く。 そしてようやく駐車場前にある鳥居に着き、疲れた身体にムチを打って最後に鳥居に一礼をして今回の高千穂峰登山は終了した。

今回の高千穂峰登山は今年最後を締め括る最高の時間だった。 そして来年にはまた、登りに行くんだろうなぁと、帰りの車中で思っている自分がいた。

 

※写真①

画像1



※写真②

画像2

 

※写真③

画像3

画像4

画像5



※写真④

画像6

 

 

キャンプギアの紹介 「ベルモント スクエアケトル2.8L」

ケトルがメインに写っているキャンプの写真

 

 今回は、家でも使えるキャンプギアベルモントのスクエアケトル2.8L」を買って、前回のキャンプで初使用したので、簡単にですがこのケトルの「概要や良い点」を紹介します。

まずは簡単にこのケトルの概要を。

①容量は満水で2.8L 適量は2.5L

②蓋のつまみが「真鍮」でそれ以外の本体はステンレス製

③茶こし付きで、IH対応、注ぎ口にフタも付いているので焚き火も大丈夫

 

【目次】

【大容量だけど大きすぎないちょうど良いサイズ感】

 このケトルを注文した当初は、少し大きいかなぁと思っていたんですが実際に物が来て触って見ると思いのほか大きくもなく、雑な言い方になりますが、「丁度良いサイズ」でした。

通常のヤカンみたいな丸い形では無くて、「スクエア型(四角)」なのでキャンプ道具として運んだりする際も通常のヤカンより、かさばらず結構良いなと思いました。

満水容量が2.8Lで適量が2.5Lと、けっこう水の入る量が多いので複数人分の飲み物用としても良いと思いますし、小さめの湯たんぽ、2〜3人分は入れられると思います。なので家族で一つ、友達同士でもこのケトル一つあれば大概は、事足りるのかなと思います。

(下の写真の焚き火台は「ユニフレームのファイアグリル(型番683040)ソロでもラージでも無く『通常サイズ』」です。)

 

【直火・IHにも対応、細かい所の気遣いが良い】

 まずケトル自体に、ゴムや樹脂製の物が付いていないので、安心して直火にかけられる事とIHにも対応しているとの事で、家でもキャンプでも使える点が良いです。 「家で使う物」「キャンプで使う物」とそこの壁が無いので、より使い込むことができると共に愛着も湧いてくるのかなと思います。(笑)

直火で使えると言う事は、もちろん焚き火でも使えるんですが、焚き火をする時に出る灰がケトルの注ぎ口から入らない様に「フタ」が付いています。

ちなみにこのフタは外す事もできます。

 

 水を入れる所のフタのつまみが「真鍮」と「輪っか」で出来ています。 なぜ真鍮なのか、調べてはみたんですが、正直この理由については分かりませんでした(笑) 素手で触った時の、熱さ防止か何かでしょうか? (理由が分かる方、コメントくれるとありがたいです!)

 

そしてこのケトルは、「茶こし」が付いているので麦茶やお茶等にも使えるんですが、細かい気遣いがあって良いなと思った点が、取り外しがしやすい様に茶こしに「ツマミ」が付いているのが非常に良い作りだなぁと思いました。

 

【今の所、悪い点が見つからない】

正直まだ一回しか使っていないので、完全にこのケトルについて網羅している訳では無いですが、今の所は非常に使いやすい印象です。

例えば、「四角くて平べったい形」なので安定感がありますし、その形もあってか(火に当たる面積が広いので)火の通りが良く思えます。 なので2.5Lと容量が多いですが、通常の丸いヤカンより、お湯が沸くのが早い印象です。

あと単純に作りがしっかりしています。 基本ステンレスで作られていると言う事もあると思いますが、その割にはそこまで重くないし持ち手を畳めば、本当2.5Lもあるケトルとは思えないほどコンパクトになるので、家族や友達同士はもちろん、ソロ用としても良いと思います。

 

まだ一回しか使っていないので、これから使っていくと更に「良い点・悪い点」が出てくるかも知れません。その時はまた記事にして共有できればなと思います。

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜『海の見えるキャンプ場でハンモック』

(今回の小説は下の続きからになります。)

www.nature-suzu.com

 

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 町外れから、少し賑わいを見せる町中を通るとすぐに海が見え始めた。 山の景色の次は海の景色で、なんと贅沢なルートを僕は走っているんだろう、、、なんて考えながら走っている。

海の雰囲気や匂いを感じながら、港町や漁港の側を通る。 僕は山側に住んでいるのでこういった、港町の雰囲気がとても好きだ。 港町を抜けると海のすぐ側に道が通ってて、海と道路を挟んだ山側には線路が通っている。

気持ちよく走っていると、「ガタン!ガタン!、、、ガタン!ガタン!」と言う音と共に、まもなく列車が僕を抜かして行った。

列車は2両編成の観光列車の様だ。 中では、海にカメラを向けて写真を撮っている人もいる。すると、その中にいた一人の子供が僕のバイクに気付いたのか、手を振ってくれた。それを見て僕も手を振り返した。 トンネルに入っていく列車の中で一生懸命に手を振ってくれている子供に微笑ましさすら覚えた。

潮風を感じながらひたすらバイクを走らせる。 反対車線からは数十台はいるであろうツーリングの団体が走ってきた。ハーレーからレーサータイプ、中にはレトロなバイクまで多種多様。 そしてすれ違い様にみんな手を上げて挨拶をしてくれる。

前方に長いトンネル、トンネルに入るとバイクの音がよりこだまする。いろんなバイクの音が混じり合ったトンネル内、もはや一つのメロディにすら聞こえてくる。

1キロ近くはあるトンネルを抜けると、再び海の景色とちょっとしたビーチがあり、そこにはたくさんのサーファーが居た。波もそれなりにある様子で、ボードに掴まりながらプカプカと浮いている人もいれば、上手に波に乗っている人も居る。 その様子を横目に、「一度で良いから、僕もサーフィンをしてみたいなぁ」なんて思いつつ、さらにバイクを走らせる。

すると、ようやくキャンプ場の看板が出てきた。 少し細い道に入るとクネクネ道が続く。ここはどうやら岬にあるキャンプ場みたいだ。 細いクネクネ道をさらに進むと、高台とその下にテントサイトが2つの場所に分かれたキャンプ場に着いた。

すでに数組のキャンパーさんが居て、ファミリーやソロ、人それぞれで楽しんでいる様子。 中には海で釣りをしている人も居る。

高台と下の方のどちらにするか迷ったが、今回はハンモックを持って来ているので、ハンモックを張るのにちょうど良さそうな2本のヤシの木がある、下の方のテントサイトにした。

僕はバイクをそのヤシの木のそばに止め、キャンプ道具を下ろす事に。 時刻は12時過ぎ、今日は軽いキャンプをする予定だったので、荷物も比較的少な目。 ハンモックやタープ、ガスストーブに前日に仕込んで置いたポトフの材料を置き、まずはハンモックを張る事にした。

ちょうど良い感覚でヤシの木が立っていて、目の前には太平洋が見れる絶景。 この絶景をハンモックに揺られながら見たいと、急いでハンモックを張った。

そしてハンモックとタープも張り終わり、しばしの間、海を眺めながらハンモックに揺られる事に、、、。

、、、海の方、遠くの方で大きな船が汽笛を鳴らしている音が、近くでは波が打ち寄せる音、たまにトンビの鳴き声も聞こえてくる。 いつもは山の方のキャンプ場なのでこういう海のそばにあるキャンプ場でのキャンプは新鮮だ。

僕は思い立った様に、カメラを取り出してこの絶景をバックに、ハンモックに揺られる自分の姿を撮ったりしていた。ヤシの木の間に張っているハンモックがかなり絵になってる。(僕は要らないな、、、。)

その後も、新しく買ったカメラで存分に写真を撮った。

、、、そろそろお腹も減って来たので、持参したポトフをクッカーに入れ、水を注ぎ、ガスストーブの火を付ける。 周りではバーベキューをしているのか、お肉の焼けた良いぃ匂いがしてくる。

そしてポトフもグツグツと煮てきたので、コンソメを入れる事に。するとコンソメの溶けた香りが鼻を通り、その香りに僕の食欲がさらに掻き立てられた。

ポトフも出来上がりハンモックに座って、海を眺めながらポトフを食べる。ポトフの香りと潮の香り、そして絶景の海とハンモックに揺られる感覚も相まって、もう最高に美味しい!

ポトフも食べ終わって、ハンモックに座りながらボーッと海を眺めていると、釣りをしていた人が、両手一杯の荷物を持ち「ヨイショ、ヨイショ」といった感じで歩いていた。 さっきは気付かなかったがよく見ると、女性の釣り人みたいだ。

僕のハンモックの前を通る時、軽い挨拶をしたその人の荷物から、ポロッと何かが落ちたので僕は拾ってあげた。 でも明らかに「もう持てません、、、。」といった感じでコッチを見て訴えかけていたので、少しほくそ笑みながら女性の車の所まで運んであげることにした。

「ふぅ! ありがとうございます、助かりました!」

「いえ、全然! 、、、ところで何か釣れましたか?」

正直、僕は釣りにも興味があったので、どんな魚が釣れたのか気になって聞いてみた。

「まぁまぁですかね!」

女性がクーラーボックスを見せてくれたので、中を覗き込むとそこには数匹の魚がいた。そこまで魚の名前に詳しい訳ではないがクロダイか何かの魚もいて、僕は驚いた。

「ほぇ〜、ここでもこんなのが釣れるんですねぇ!」

「ホント釣れましたねっ、実はここでの釣りは初めてなんですけど。私自身もビックリしましたよ!(笑)」

「へぇー! 初めての場所でこんなに釣れるなんて凄いじゃないですか! けっこう釣りはするんですか?」

「時間を見つけては、海や川に行って釣りをしてます!」

「それにしてもハンモックも気持ち良さそうでしたね!」

「え?あ、あぁ!まぁ、海を眺めながらは特に気持ちが良いですよ!」

「私もキャンプ中に釣りをして、釣った魚を焼いて食べる、なんてキャンプをしてみたいなぁと思っていたので、キャンプをしている様子を見て俄然キャンプに興味が湧きました!」

そんな話をしながら、「また、どこかのキャンプ場で会えたら良いですね!」と女性に言われて、少しドキッとした自分も居た。

そしてその女性と別れを交わしたあと、僕も釣りに俄然興味が湧いてきたのは言うまでもなく、今度のキャンプでは釣りをして釣った魚で料理をしようかなぁなんてさっきの女性と同じ事を考えていた。

僕はテントサイトに戻り、またいっときの間、ハンモックに揺られていた。 時刻は2時、気持ち良くハンモックに揺られていると、新たなキャンパーさん達が来て、僕の数メートル近くにテントを張りけっこう騒いでいる。どうやら大学生ぐらいの子達だ。

そして数人の釣り人が来た。結構ガヤガヤと騒いでいる様子で見た目は少しガラの悪そうな若い釣り人達。

釣り場のポイントに行く為の道が、僕がハンモックを張っている数メートル前にあるので、僕は「うわぁ、ガラの悪そうな人達、絡まれたら嫌だなぁ、、、。」なんて思っていると、案の定、僕のハンモックに興味を持ったのか

「あぁ!めっちゃハンモック気持ち良さそうじゃん! 良いなぁ兄ちゃん!気持いやろ!」

と言われ、僕は「あ、え、まぁ、は、はい、、ははは、、(笑)」と言うしかなく、続けて

「俺ら釣りに来たんだけど、ここなにが釣れるか知らん?」と言われ、さっきの女性が釣れていたので、「、、、多分、クロダイとか釣れると思いますけど、、、。」と言い。

「おぉ?マジ!? じゃ、早よ行って釣ろうや!、、、。んじゃ、教えてくれてありがとな兄ちゃん!」

僕はあの女性が釣れたからといって、この人達が釣れるとは限らない事に、今更気付いて、またなんか絡まれたら嫌だし、「釣れんかったぞ!」なんて言われるんじゃないかと思ったし、しかも近くの大学生達は騒がしいので、ここから退散しようとキャンプ道具を急いで片付けた。

ガラの悪そうな人達は楽しそうに、釣りをしている。僕はバイクにキャンプ道具を積み終わり早々にキャンプ場を出た。 よくよく考えたら多分、僕より若い人達だろうけど、コワイものはコワイ、、、。

とりあえずキャンプ場を出たけど、まだ時間はあるし、帰るのには少し早いのでこのあとどうしようかなぁなんて考えて、それならと少し遠回りだけど市内の方にキャンプ用品もある大型商業施設に行くことにした。

市内までは途中まで来た道を引き返す、もちろん海の景色を眺めながら、、、。

約1時間程バイクを走らせた後、商業施設に着きバイクを止めて目的のキャンプ用品店を目指した。 ここは最近できた場所らしく実は僕自身来るのは初めて。そのお店の前に到着すると店の前からでも分かるぐらいにキャンプ道具がズラリと並んでいた。

やっぱり初めて来るキャンプ用品店は、初めて使うキャンプ道具みたいにワクワクする。僕はさっそうとお店に入り、くまなくキャンプ道具を物色した。 僕自身キャンプ歴は数年経つので見慣れた物もあるが、中には初めて見る物もあり興味深々。一つ一つをじっくりと、まるで子供の頃に戻った様な感じでなんだかんだ1時間は物色し続けた。

すると、ツーリングキャンプに持って来いであろうコンパクトな「焚き火台」があり、「うわぁー、これ欲しぃぃ!!!」と僕はついつい思ってしまった。

、、、僕はその焚き火台を見て買うか悩んでいた、実は先日買ったばかりの、別の焚き火台があるのに、、、ましてやその焚き火台はまだ使っていないのに、、、。なんだか、浮気をしている様で、、、、、、と思ったが、こうしてこの焚き火台と出会ったのも何かの運命かと思い、結局は買ってしまった。

僕は会計を済ませルンルン気分で、バイクを止めてある商業施設の駐車場に歩いていた。すると前から、さっきのキャンプ場に居たガラの悪そうな人達が歩いて来ていた。僕は「うわぁ、なんでいんの!?」と思い、顔を伏せたが、時すでに遅し。

その人達はハッキリと僕の顔を覚えていたようで、「おぉ! さっきのハンモックの兄ちゃんやろ!?」と声を掛けられた。

僕は少し嫌な予感がした、さっきクロダイとか釣れると思いますよと言ったが、もし魚が釣れてなくて、八つ当たりなんかされたら最悪だと、、、。

すると、その人達は「いやぁ、兄ちゃんが言った通り釣れたわ、クロダイ! しかも全員が!」

僕は一瞬「へっ!?」とした感じになったが、「あっ、あぁー! スゴイ!良かったです!良かったですね!」と返事し、その人達は「ありがとなぁ!」となんでお礼を言われたのか分からないが、そのままその商業施設の中に入って行った。

、、、本当はここからもう家に帰るつもりだったが、ホッとしたのも半分、正直まだキャンプをし足りなかったので(さっき途中で帰ったので)、近くにキャンプ場があればそこに一泊しようと考えた。 市内の方なので無いかもなと思いつつ、僕は必死にスマホで調べた。 すると少しこじんまりとしているが、ビーチに隣接しているキャンプ場を発見した。 ここからは約20分ほど、僕は「ここしかない!」と思いすぐに予約の電話を入れた。 すると予約は大丈夫だけど、チェックインの時間が5時までとのこと。「現在時刻4時30分!」

「よしっ行ける!」と思い、僕は予約をして急いでそのキャンプ場に向かった。

風を斬りながら、バイクを操る僕は、まるで「MOTOGPレーサー!」

とは言いつつも、制限速度はしっかりと守り走行。 そして無事、チェックイン時間に間に合った。 受付を済ませてテントサイトに行く、すると幸運にもハンモックを張るのにちょうどいい木があった。もちろんそこを定位置と決めてハンモックを張る。 時刻は夕方6時ごろ、ベストタイミングか夕日が山の方に沈んでいく瞬間、辺りはオレンジ色のなんとも幻想的な色合いに。 僕は思い立ったようにカメラを取り出しカメラを構え最高のシャッターチャンスを伺った、、、。

すると、管理人が「あぁ、居た居た!ごめん、ごめん!まだ書いてもらう紙があったんだった!」と、、、。

、、、、、、。

、、、僕は沈んでいく夕日をバックに、まだ間に合うかもと急いでその紙に必要事項を書いた。 けど、管理人がヘッドライトで照らして始めたのを見て、僕は悟った様に丁寧に書いた。

、、、辺りはだんだんと暗くなり、ビーチ沿いの何キロか先に光る市内の明かりが、一際目立ち始めた。

「あっ!そうだ」 、、、と、僕はさっき買った、焚き火台を出して組み立てていく。新品で焼け色が着いていない焚き火台。これを使っていくうちに良い焼き色にしていくのが楽しみで仕方ない。

そしてよくよく見ると、このキャンプ場にいるのは僕一人の様だ。 貸し切り気分になんだか嬉しくなった。 ヘッドライトを付けてビーチに行き、薪として使えそうな流木を探す。コンパクトな焚き火台なのでそこまで多くの薪は要らないはずと、小さいものも拾っていく。

ある程度拾い終え、ハンモックのある所に戻る途中、僕は気付いた、、、。

「あっ、夜に食べる物をなにも買ってない」、、、と。

「でも一食分、食べないくらいは我慢できる」ととりあえず戻り、新しい焚き火台に薪をくべて火を付ける。

ヘッドライトを消す、、、暗闇を照らす、焚き火の明るすぎない火が落ち着く。そして焚き火台の側面の切れ込みから見える火も、さり気なくてこれまたオツだ。

、、、。 、、、。「グゥ〜」

「ハラヘッタ、、、。」

管理棟の方を見るとかすかに明かりが点いていた。 僕はそこに最後の希望を残し歩いていく。 「コンコンコン(ドアを叩く音) あの〜すみませ〜ん」

「ガチャ」、、、ドアが開く。

「はい?どうしました?」

僕は何か食べれる様な物は売っていないか聞いた。

「いやぁウチは売店とかは無いからなぁ、、、。 う〜ん、、、あっ!夜食に食べようと思っていたカップ麺があるんだった。それで良いならあげるよ、ちょうど2つあるし」

「えっ!? いいんですか!? でも、、、。」

「いいよ、いいよ、しかもさっき夕日を撮り損ねたでしょ、分かってたよ、それも私が紙を書かせたからだし、その分と言うか、どうせ私はいつでも買いに行けるし」

「は、はぁ、でも、、、(確かにベストタイミングだった) 、、、じゃ遠慮なく貰います!」

僕は管理人にもらったカップ麺を食べるため、昼にポトフで使ったクッカーに水を入れ、焚き火でお湯を沸かした。 お湯が沸くまでのしばしの間、ハンモックに揺られながらかすかに出始めた星を眺める。

、、、それにしても今日は、いろんな出来事や出会いがあった。こんなに忙しい休日は久々、でも新しい焚き火台とキャンプ場も見つけてなんだこんだ幸せな1日だ。

カップ麺ができあがる時間に設定していた、スマホのアラーム音がなる。 フタを開け、暗い夜の空に上がっていく湯気を見向きもせず、麺を食らう、、、。

「美味しいっ! 管理人さんご馳走様です!」

あっという間に食べ終わり、再びハンモックに揺られる。 ハンモックの中で僕は日課のブログを書くことに。今日あった出来事を、出会いを、買った物を、、、。

僕は疲れていたのもあり、気付いたら眠っていた様だ。

、、、そして早朝、太陽が太平洋の水平線状に顔を出し始めているところだった。 僕は目にも止まらぬ速さで、カメラを構え、昨夜の無念を晴らすようにシャッターを切っていく。 朝日をバックにバイクの写真を、そしてバイクとハンモックと僕を一緒に、、、。ひたすらにシャッターを、、、。

、、、シャッターを切りながら、僕は思い出していた、、、。

、、、あっ、今日仕事だった、、、。(どうりで人が居ない訳だ)

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜

『海の見えるキャンプ場でハンモック』

 

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜 『ツーリング多め編』

ヤシの木が立つ海岸線沿いの道路

 時刻は朝の7時ごろ、僕は今、バイクにキャンプ道具を積んでいる。 今日の予定としては海沿いにあるキャンプ場に行ってハンモックを張りそこで一日のんびりと過ごす予定。その前にツーリング称して色んなところに寄ってその土地、土地の魅力を再発見、と言うか、言ってしまえばたまの休日を存分に楽しもうという魂胆。

今日のルートとしては、僕の家は海からは遠い山の側にあるので、山の峠道を通ってからちょっとした町を通り、海沿いに出て、いっとき海岸線沿いを走りキャンプ場に着く予定。

キャンプに必要な道具を載せ終わり、軽くバイクを拭きあげガレージから出して、エンジンを掛けることに。

今日はキャンプ道具を積んでいるので、バイクが少し重い。でもこの重さがなんとなく良い。(笑) そしてバイクにまたがりキックを出して思いっ切り踏み込む。

「ギィー!、ボォ、ボォ、ボォ、ボォ、ボォーン!、ボォーン!、ボォ、ボォ、ボォ」

エンジンは快調、日々の手入れがちゃんとしている証拠。 少しの間、エンジンを暖める、この時ふと思い出した、あるMOTOGPレーサーがレース前にバイクに向かって祈る様な感じを、僕も真似して今日一日を事故なく安全に楽しめる様に祈る。(笑)

エンジンも暖まった様子なので、いざ出発することに。

季節は夏も終わりに迫った頃、この時間帯はけっこう涼しくて快適。 でも日陰を通ると少し肌寒くも感じるが、この季節感を直に感じれるのがバイクならではというか車では味わえ無い感覚がまた良い。 ちなみに今日は週末で、仕事の人も少ないせいか車も少なくスイスイ走れる。

家から数分経って、少し山の中を通っているクネクネ道を走る。数年前はこういう峠道をレーサーレプリカのバイクでスピードを出して走っていたもんだ。 少しその時の気持ちが戻って来て、カーブで無駄に身体を横に倒したりしてみる。(笑)

そんな事をしながら気ままに走っていると、チラホラとバイクとすれ違う。するとバイク乗りならではの、知らない人でも同じバイク乗りという事で、すれ違い様に手を上げて挨拶をし合うのをした。この感じはバイク乗りにしか体験出来ない事で、特に地方に行った時に他のバイク乗りに手を上げて挨拶されると、すごく嬉しい気持ちになる。 でもたまに相手も手を上げてくれると思って、思いっきり手を上げて挨拶をしたら、気づいてくれないのか真相は定かではないけど何事もなかった様にすれ違う事があって、物凄く恥ずかしくなる事がある。 ましてや近くに他の車がいる時、その状態になるともっと恥ずかしい。「わぁ〜、あの人無視されてるぅ〜」みたいな。(笑)

、、、そんな事がありつつも走っていると、道の駅が出て来たのでとりあえず休憩を取る為に入った。 さすがは峠道の途中にある道の駅、すでにバイク乗りも数人居て楽しそうに談笑している。

ここでもバイク乗りならではだと思うが、「缶コーヒー」を片手にバイクを眺めながら、「このバイクは、この角度から見るのが良いんだよ!」などと言っている様子を垣間見る。

そして僕も当然の様に、自販機の前に行っていつも飲んでいる缶コーヒーを買う。バイクを眺めながら飲むコーヒーほど美味しいものは、この瞬間とキャンプの時にしかきっと味わえない、このひとときは僕にとって一つの貴重な時間だ。

「カシャ、カシャ」周りのバイク乗りがバイクの写真を撮っている。 それに釣られるように僕も写真を撮る事にした。 そしてここで登場するのが最近買った一眼カメラだ。お気に入りのバイクを良いカメラで撮りたくて、貯金をして買った。

何気に、バイク乗った出先でバイクの写真を撮るのは初めてなのでワクワクしていた。 「カシャ、カシャ」正直、まだ買ったばかりであまり使い方を分かっていないけど周りの目を気にして、得意げに撮ってる自分が居る。(笑)

すると、他のバイク乗りの人が、僕に話しかけに来てくれた。

「どうもぉ、良いバイクですね!」

「あ、ありがとうございます(照) (相手のバイクを見ながら)いやぁあのバイクも渋い感じで良いですね!」

すると僕のバイクに積んでいるキャンプ道具を見て。

「お? なんか積んで、、、あぁ!キャンプ道具かなにかですか?」

「そうなんですよ!、今日は海の側のキャンプ場に行って、ハンモックに揺られようかなぁ、なんて。(笑)」

「ほぇ〜、なんかすごく楽しそうだなぁ!キャンプかぁ子供の時以来していないなぁ、、、。」

なんて事を話していると、その人の友人達も交えて少しの間、バイクやキャンプの話で盛り上がった。

ガヤ、ガヤ、、、。

「、、、じゃあ、そろそろ行こうか、キャンプの話を聞かせてくれてありがとね!僕らもキャンプしたくなったよ」

「いえ、こちらこそ楽しかったです! ありがとうございました!」

その人達と僕は互いのツーリングの無事を祈って、一足先に出て行ったその人達を見送り、その数分後に僕も道の駅を出た。 こうしてバイク乗りはもとより、同じ趣味を持った人達同士で話あえるのはすごく楽しい。

時刻は9時前、峠道は続く。 僕は軽快にバイクを走らせながら次第に増えていくバイクとすれ違い様に手を上げ挨拶をする。

アップダウンを繰り返し、橋の下を通る川に涼を感じながら走り続ける。 そうしていると山の中の峠道も終わりに近づき、町外れにある民家や小さなお店が少しづつ現れ始めた。

すると1キロ先に「定食屋」があるとの看板が、、、。 今日の朝は朝食を取っていなかったのでその看板を見て、少しお腹が減ってきた。 多分前々から気になっていたお店なんだけど、あまり行く機会が無かったのでいつもスルーしていた。 、、、けど今日は、お腹も減っていることだし寄ってみようかなと思う。

少し走っていると、先ほどの看板に載っていたと思われるお店に到着した。よく見てみると、開店は10時からだそう。 現在時刻は9時半過ぎ、開店まで後少しなのでしばしのあいだ待つ事にした。 するとお店の中から一人の若い青年が出て来て、のれんを掛けたり、店の前に水を撒いたりしている。

その青年は僕の方をチラチラ見ている。 すると僕が開店時間を待っているのに気遣ってか話しかけて来てくれて、「開店時間待っているんですか? よかったら中に入ってても良いですよ」と言ってくれた。

僕は遠慮しながらも気付けばお店の中に入っていた。調理場には、その青年以外にその青年のお父さんと思われる人も居て、開店前の準備をしていた。 水を流している音や調理器具がカチャカチャと鳴っている音が、実家の朝を思い出させる。

すると青年が、「今日は何処かでキャンプですか?」と聞いて来た。 どうやらさっき、僕のバイクを見て分かった様で、水を差し出しながら話しかけて来てくれた。

僕は「そうそう! よく分かったねぇ!」

「メーカーを見て分かりました。 僕も何回かキャンプをしていて、、、。実はこの間も行って来たんですよ。この間はいろいろ大変でしたけど(笑)」

その青年は作業をしながらも僕と、キャンプのここが良いみたいな話をして盛り上がった。

、、、時刻は10時になりお店は開店。 立ち込める調理場からの湯気、部屋の隅っこの上にあるテレビが付く、開店して数分経つと数人のお客さんが入って来た。 「いらっしゃいませー!」 青年とそのお父さんの元気な声が店内に響き渡る。

良い匂いがしてきたなぁと思ったら、僕の所に先ほど注文していた、生姜焼き定食がきた。 「お待たせしましたっ、どうぞごゆっくりー」

良い匂いと美味しそうな生姜焼きが食欲をそそる。この時にはもうお腹ペコペコだったので到着するや否や、すぐに生姜焼きを頬張った。「おいしいっ」

すると常連さんなのか、一人のおじいちゃんが入って来て入り口に一番近いカウンター席に座り「いつものくれ」と一言。 青年も慣れた様子で「味噌汁はいる?いらない?」と聞いている。 まぁ定食屋さんだし常連さんくらいは居るかと、特に気にせず生姜焼き定食を食べていた。

賑やかな店内、ガヤガヤと笑い声も聞こえてくる。 町外れの定食屋、地元の人に愛されている感じで良い雰囲気だ。

すると、先ほどのおじいちゃんが青年に向かって「この前のキャンプは楽しかったか?」と聞いている。

「うん、結果的にはね! いやぁでも、それが結構大変でさぁ、焚き火は着かないし、フライパンは忘れているしで、でもキャンプ場に居た一人のおじさんに、焚き火を分けて貰ったりフライパンを借りたお礼と言うか、よく店で出す生姜焼きを作って一緒に食べたりしたんだよ。」

「、、、ほぉ、そうかそうか、その人は喜んでくれたか?」

「うん、でもまさかキャンプ場で生姜焼きを食べるとは思ってなかったみたいだけど。(笑)」

「懐かしいなぁ、ワシもその昔、お前みたいにフライパンを忘れて困っていたカップルに、ここで使っていたフライパンとかを貸した覚えがある。」

「あぁ、そう言えばその時のフライパン、うちで使っている物と一緒だったよ。」

「ん? ハッハッ! もしかしたらその人が、その当時の青年だったかもな。」

「まさかっ!(笑)」

僕はその話に耳を傾けながら、生姜焼き定食を食べ終わり、食器類をカウンター横の返却場所に置いて会計をした。

すると、青年が「あ、じいちゃんじいちゃん、このお兄さん今からキャンプに行くんだって。ほら外にバイクがあったの見たでしょ、、、。」

「ほー、バイクでかぁ、そりゃ良いなぁ。 この辺りだと町を抜けて海岸線沿いに行ったとこにあるキャンプ場が良いわ。もしかしてそこに行くんかぁ?」

「あ、はい、そうなんです(笑)まぁただ、ハンモックに揺られながら海を眺めようかなぁなんて、、、。」

「へぇー!ハンモックかぁ気持ち良さそう!」

「良い良い、キャンプは自由じゃ、自分のしたいと思うキャンプをしたらええ、、、。気をつけて楽しんでな」

「は、はい、ではっ!」

続いて青年も「ありがとうございました! 僕もまたキャンプに行きますね! じゃ気をつけて楽しんで!」

「ご馳走様!はーいありがとう。またねぇ」 僕は心もお腹も満たされて良い気分になり、再びバイクを走らせた、、、。

【短編小説】 ツーリングキャンプ 〜バイクとキャンプで繋がる人との出会い〜

『ツーリング多め編』